1992 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイド受容体の核結合を促進する蛋白質(ASTP)による遺伝子発現調節
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02807027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 一起 大阪大学, 医学部, 助手 (40177085)
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Keywords | グルココルチコイド / 受容体 / 核結合促進因子 |
Research Abstract |
1.グルココルチコイド受容体の核結合を促進する因子(ASTP)のcDNA配列を解析する為、ラット及びヒト肝のcDNAライブラリーを作製し、抗ASTPポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体でスクリーニングを行ないました。得られたポジティブクローンをクローニングサイトの上流域および下流域のDNAプローブを用いてPCR法で増幅しました。電気泳動で精製、回収の後、同じプローブを用いてダイレクトシークエンスを行ないました。その結果、約2.4Kbpの全cDNA配列を解析出来ました。その内open reading frameは約1.5kbpでした。このcDNAをアミノ酸に翻訳すると予測されるアミノ酸配列は精製ASTPの限定分解により得られた8種類のアミノ酸配列を全て含んでいました。データーベースの検索を行ないましたが、この蛋白と相同性を持つものは見付からず、全く新しい蛋白質である事が分かりました。現在、ASTPの発現ベクターを調製中です。 2.グルココルチコイドレセプターに対する特異的抗体を作製し、ホルモン抵抗性癌細胞におけるグルココルチコイドレセプターの変化をウエスタンブロッティング法で解析しました。以前、ホルモン抵抗性癌細胞にはASTP活性が認められない事を見出しておりますので、同時に特異的抗ASTP抗体を用いて解析を行ないました。その結果、ホルモン抵抗性癌細胞ではレタプター蛋白には変化が認められないが、ASTP蛋白が欠損している事が分かりました。従って、ASTPはグルココルチコイドホルモンの作用機構上必須の蛋白質で、癌細胞のホルモン抵抗性獲得にはASTPの欠損が大きく関与している事が考えられます。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kazuki Okamoto: "Rat Hepatic ATP-Stimulated Translocation Promoter That Increases The Nuclear Binding of Activated Glucocorticoid Receptor Complex." Neuroendocrine Research Methods. 2. 635-672 (1991)
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[Publications] Yoko Nakanishi: "Effects of Chronic Administration of the Peroxisome Proliferator.Clofibrate,on Cytosolic Acetyl-CoA Hydrolase in Rat Liver." Biochemical Pharmacology. 45. (1993)
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[Publications] Fumihide Isohashi: "ATP-Stimulated Translocation Promoter that Enhances the Nuclear Binding of Activated Glucocorticoid Receptor Complex:Biochemical Properties and Its Function." Receptor. 3. (1993)
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[Publications] 岡本 一起: "グルココルチコイド(G)抵抗性癌細胞におけるGレセプター及び核結合促進因子(ASTP)の抗体による同定" 日本癌学会総会記事. 51. 283- (1992)
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[Publications] 劉 鋼: "グルココルチコイド抵抗性癌細胞(AH-130腹水癌細胞)に存在するレセプター核結合阻害物質の精製と生化学的特性" 日本癌学会総会記事. 51. 295- (1992)
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[Publications] 岡本 一起: "グルココルチコイドレセプター-(GR)とGR核結合促進因子(ASTP)の特異的抗体による解析" 生化学. 64. 1032- (1992)
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[Publications] 上田 清隆、岡本 一起、礒橋 文秀: "生物薬科学実験講座 第9巻ホルモン・生理活性物質" 株式会社廣川書店, (1993)