1990 Fiscal Year Annual Research Report
スピロヘータのリボソームRNA遺伝子の構造解析と系続発生,生物進化に関する研究
Project/Area Number |
02807046
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
柳原 保武 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (30046255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 俊幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10181645)
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 助教授 (20132483)
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Keywords | リボソームRNA / レプトスピラ / 遺伝子の構成 / 塩基配列 |
Research Abstract |
これまでに申請者らはレプトスピラのリボソーム遺伝子の構成の研究を行ない、この菌が他の細菌には全く見られない特異な遺伝子構成を有していることを明かにしてきた。本研究では、形態的に近縁なトレポネーマ、ボレリア等のリボソーム遺伝子の構成、塩基配列等を明かにして、これらの生物の分類学的、発生生物学的な位置付けを行なうことを目的としている。この目的に沿って実験を行ない、次ぎに上げる研究成果が得られた。 1.レプトスピラを構成する二つの属に分類されている菌株では調べたすべてにおいて16S、23S及び5S遺伝子はその染色体上に散在していた。この事実はレプトスピラに特異なリボソーム遺伝子構成はレプトスピラ科に普遍的な性質であるを示唆している。 2.レプトスピラ科の菌株は16S及び23S遺伝子を2個づつ有していたが5S遺伝子は、病原株では1個、非病原株では2個であり病原性との相関性が認められた。 3.5S遺伝子とその近傍の塩基配列の決定から、病原株では遺伝子近傍の配列が極めてよく保存されていたが、非病原株では遺伝子内部の配列は保存されていたものの近傍の塩基配列は菌株によってまちまちであった。 4.5S遺伝子は約120塩基の分子であり、細菌では他のリボソームRNA遺伝子と同時に転写される。しかし、レプトスピラではこの小さい遺伝子が独自のプロモーターを有し遺伝子の転写システムにも違いがあることが示唆された。 以上、レプトスピラのリボソームRNA遺伝子の研究から、これまでに知られていない遺伝子構造や、転写メカニズムが明かになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masahito Fukunaga,et al.: "Nucleotide sequence analysis and organization of 5S rRNA genes in Leptospira biflexa and Leptosipira interrogans." Journal of Bacteriology.
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[Publications] Masahito Fukunaga, et al.: "Cloning,characterization and taxonomic significance of genes for the 5S ribosomal RNA of Leptonema illini strain 3055" Journal of General Microbiology.