1990 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関筋リウマチの病因としての熱ショック蛋白の意義
Project/Area Number |
02807069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑田 清次 東京大学, 医学部, 助手 (30211593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 明 東京大学, 医学部, 助手 (70175660)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / 慢性関筋リウマチ / γ / δ型T細胞 |
Research Abstract |
熱ショック蛋白(hsp)は、細胞を高温度を初めとする有害な条件下におくと、その産生が亢進する-連の細胞内蛋白である。あまり臨床医学との関連を考えられていなかったこの蛋白が、最近になり、自己免疫疾患と深い関わりをもっていることが示唆されるようになったのは、1)細菌から哺乳類細胞に至るまで保存された蛋白であるにもかかわらず、免疫原性が非常に強い蛋白であるために、免疫と寛容の接点にある蛋白であると考えられること、2)γ/δ型T細胞の多くが、このhsp(とりわけ、結核菌のhsp)によって活性化を受け、こういった細胞がリウマチ(RA)の関筋内に末梢血よりも濃縮されて存在すること、の2点が明らかとなったためである。そこで、リンパ球を活性化する抗原とみられている体液中のhspの濃度を測定する系を確立し、RAの血清・関筋液やSLE、正常人の血清において測定することにより、RAにおけるhspの役割を検討してみた。測定するものは、非刺激下ではほとんど発現されていないhsp72と、結核菌の65kDのhspと交又反応するhsp65ーCRとした。分子遺伝学的手法を用いてガラクトシダ-ゼーhsp72融合蛋白を作製した。これをウサギに免疫し、抗hsp72抗体のみをアフィニティ-精製した。一方、抗hsp65ーCR抗体は、オランダのvan der Zee博士より供与された結核菌の精製hsp65をウサギに免疫して作製した。これらはポリクロ-ナル抗体であるので、サンドウイッチ法による測定が可能であった。正常人20例の血清中にはhsp72、hsp65ーCRはともにほとんど測定することができなかった。一方、RA20例の血清の約半数に両者の高値を認めた。RAの関節液で高値を示すものは4例であり、関節液により高頻度、高濃度に認められるという結果にはならなかった。SLEでは33例中、3例において血清のhspの軽度の増加が認められた。したがって、膠原病ではhspはとりわけRAと関連があると考えられた。
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[Publications] 蓑田 清次 他: "Autoantibodies to Nucleolin in Systemic Lupus Erythematous and Other Rheumatic Diseases" Journal of Immunology. (1991)
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[Publications] 蓑田 清次 他: "Specificity of Autoantibodies to Histone H1 in SLE:Relationship to DNAーbinding Domains" Auto immunity. (1991)
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[Publications] 蓑田 清次 他: "SLEにおける抗ヒストレH1抗体のLgG型およびIgM型での特異性の違いーソコンビナント抗原を用いたエピト-プマッピングによる解析" 第34回日本リウマチ学会総合抄録集. 182 (1990)
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[Publications] 蓑田 清次 他: "ヒストンH1上のDNA結合部位と自己抗体の認識部位のリコンビナント抗原を用いた解析" 第18回日本臨床免疫学会総合抄録集. 202 (1990)
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[Publications] 蓑田 清次: "自己抗体に関する最近の知見" 内科. 65. 813-820 (1990)
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[Publications] 蓑田 清次: "Heat shock proteinと臨床免疫" 臨床免疫. 22. 280-285 (1990)