1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02807099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大河原 章 北海道大学, 医学部, 教授 (50000964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 仁 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (00153627)
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Keywords | 皮膚腫瘍 / PCR / 癌遺伝子 / HTLVー1 / HPV |
Research Abstract |
昨年度,ホルマリン固定標本からDNAを抽出後,PCR法を用いることよってONA中のHTLVー1遺伝子断片を証明する方法を確立した。 今年度は,この方法を用いることによって,皮膚腫瘍組織中のHTLVー1とヒト乳頭腫ウイルス(HPV)について,それらの発現を検討した。 〈方法〉1.HTLVーI遺伝子の検索には,HTLVー1抗体検査ができなかった年代の皮膚リンパ腫組織,つまりATLの診断が不可能であった時代のホルマリン回定標本(菌状息肉症:3例,nonーHodgkinリンパ腫:6例,Hodgkin病:1例)を対象とした。2.HPVの検索には,ヒト皮膚腫瘍組織中でもHPVの発癌への関与が疑われている verrucous carcinoma(2例),bowenoid papulosis(1例)を対象とした。3.当科に保存してあるホルマリン固定パラフィン包理標本から10μm 切片10枚を作成したのち,脱パラフィン後,プロテ-ゼK処理,フェノ-ル・クロロホルム法にてDAを抽出した。4.それぞれのウイルスに特異的とされる塩基配列領域のプライマ-を用いて,PCR法により抽出DNAから増幅操作を行った。 〈結果〉1.10例の皮膚リンフォ-マ-組織からは,1例のnonーHodgkinリンフォ-マ,1例のHodgkin病組織からHTLVー1特異的配列が増幅された。 2.HPV遺伝子の検索では,verrucous carcinoma,bowenoid papulosis全例でHPV16型特異的配列が増幅された。 以上の結果から,皮膚発癌に関与する遺伝子検索にPCR法が有甲であること,本邦における皮膚リンフォ-マにHIVー1が,また高分化型有棘細胞癌にHPV16型が多く検出されることも判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kobayashi,H.,et al: "Detection of HTLVー1 genome in formalinーfixed,paraffin embedded lymphoma fissues." Lymphomas of the Skin. 10. 65-70 (1991)
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[Publications] 成田 光生,他: "PCR法を用いての固定保存悪性リンパ腫組織からのHTLVー1ウイルスゲノムの検出。" 医学のあゆみ. 159. 135-136 (1991)
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[Publications] 小林 仁: "皮膚と癌遺伝子" 日本皮膚科学会雑誌. 101. 1567-1569 (1991)
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[Publications] Nishikawa,T.,et al.: "Tumorigenic transformation of primary rat embryonal fibroblasts by HPV type 8AI7 gene in collaboration with the activated Hーras gene" Jpn J Cancer Res.82. (1991)
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[Publications] 小林 仁: "癌遺伝子.現代皮膚科学大系年刊版'90ーA" 中山書店, 54-60 (1990)
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[Publications] Kobayashi,H.,: "The Biology of the epiderms" Elsevier,adited by Ohkawara,A.&McGaire,J., 300 (1992)