1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02807105
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 臨床研究部, 室長 (00159526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 幸子 放射線医学総合研究所, 臨床研究部, 主任研究官 (50161831)
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Keywords | 低酸素細胞 / 細胞亜集団 / クロ-ン株 / クロ-ン間相互作用 |
Research Abstract |
腫瘍低酸素分画の大きさは、腫瘍の種類・大きさ腫瘍母地・検定方法などによって異なっている。R1137線維肉腫はNFSa腫瘍を放射線治療した後に出てきた再発腫瘍であり、肺コロニ-法で調べた限りでは、低酸素分画は検出されない。しかし、より大線量・低生存率の反応が調べられる腫瘍増殖遅延法やTCE_<50>法では明らかな低酸素分画が認められる。また、腫瘍血流を遮断して腫瘍全体を人為的低酸素状態にしておいても、R1137腫瘍の線量効果関係は変動が大きかった。このことから私達は、腫瘍内に放射線感受性の異なる細胞亜集団が混在している可能性を考えた。もし、異なる亜集団が別々の低酸素分画を示すならば、その亜集団の集合体である原腫瘍の低酸素分画の変動は、亜集団の存在比と放射線感受性の変動に帰するのではないか、と考えられる。そこで本年度は第一にR1137腫瘍細胞をクロ-ン化し、クロ-ン間の比較を行った。96穴マイクロウェルを用いて、2種類のクロ-ンK1およびK2を得た。いずれのクロ-ン株もマウスに100%移植できたが、体積倍加時間はK1の方が長く、また親株に類似していた。放射線感受性はK1の方が親株より低く、低酸素分画も多かった。照射後再増殖過程はK2が親株に類似しており、今後K2について調べる予定である。第二に、クロ-ン間相互作用を検討するめた、主要組織適合性抗原がR1137腫瘍と異なる腫瘍を作った。C57B1マウスを全身照射し、線維肉腫を誘発した。これから培養クロ-ン株を樹立し、CFSaーSY90とした。今後は、CFSaーSY90の低酸素分画を調べ、R1137ーK2と混合して、両クロ-ンが共存できる雑種第一代(F1)マウスに腫瘍形成をさせ、それぞれのクロ-ン間の低酸素分画の相互作用を調べる予定である。
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[Publications] 安藤 興一: "基礎面からみた腫瘍治癒ー腫瘍幹細胞数の重要性についてー" 癌の臨床. 36. 2223-2226 (1990)
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[Publications] S.Matsubara: "Chromosome aberration frequencies produced by a 70 MeV proton beam" Radiat.Res.123. 182-191 (1990)
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[Publications] K.Ono: "Frequency of micronuclei in hepatocytes following X and fast neutron irradiations" Radiat.Res.123. 345-347 (1990)