1990 Fiscal Year Annual Research Report
胃切除・迷走神経切離の消化管運動に及ぼす影響と門脈血流量変動に関する実験的研究
Project/Area Number |
02807118
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 仁之 新潟大学, 医学部, 助手 (50199759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 洋一 新潟大学, 医学部, 助手 (70163681)
松原 要一 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (90111723)
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Keywords | 迷走神経切離術 / 門脈血流量 / 空腹期強収縮波群 / 消化管運動 / 流動食 / 固形食 |
Research Abstract |
本研究の目的は胃切除や迷走神経切離が消化管運動と門脈血流量に及ぼす影響を知り、胃切除後障害や迷走神経切離術後の病態生理を解明することである.研究初年度の本年は、まず迷走神経切離術前後の運動変化と門脈血流量の変動について成犬6頭を用いて実験的に検討した. 検討項目は以下の通りである. (1)空腹期の消化管運動の変化と門脈血流量の関係 (2)食餌投与後の門脈血流量増加態度と消化管運動様式の変化 (3)食餌の投与内容(固形食、流動食)による運動と血流変化の差異 結果:(1)空腹期の門脈血流量は胃十二指腸の強収縮波群(PhaseIII)発生に同期した周期的な増加が認められた.迷切後は胃の強収縮波群発生が明らかに減少、同時にこの門脈血流量変動の周期的リズムも消失した。(2)食餌投与後、消化管よりMMC(migrating myoelectric complex)は消失し食後期運動様式に移行した.門脈血流量もこの変化にともない増加し一定の増加が持続した後、漸減し、血流増加時間は3〜5時間であった。血流が空腹期のレベルに復するに要した時間と消化管に再びMMCが出現するまでの時間とはほぼ一致し、両者に正の相関を認めた.迷切後も食餌投与後の消化管運動は迷切前と同様の変化を示したが、門脈血流量の増加態度は多様で、急峻な増加、二峰性の変化、血流増加開始の遅延など認められた.またMMC再出現と血流増加時間との相関は消失した.(3)食餌投与後の門脈血流量増加開始時間(lag time)は流動食投与では迷切前後で差がみられないのに対し、固形食では迷切により明かなlag timeの延長が認められた。 以上の結果は、迷走神経切離による消化管運動障害、なかでも胃運動障害により門脈血流量にも大きな影響が及ぶ可能性を示し、このことがまた迷切後の種々の術後障害の一因を成すことが示唆された.
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