1990 Fiscal Year Annual Research Report
陰部神経移植を伴なった有茎腹直筋弁による肛門括約筋再建に関する実験的研究
Project/Area Number |
02807125
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小平 進 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00110015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久 晃生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40181086)
宮島 伸宜 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 講師 (00174186)
寺本 龍生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00146713)
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Keywords | 陰部神経移植 / 有茎腹直筋弁 / 肛門括約筋再建 / 酵素組織化学的染色 / ATPーase染色 |
Research Abstract |
直腸癌術後のQuality of Lifeを指向して、肛門括約筋を含めた直腸切断術後に、本来の機能を有した肛門括約筋を新しく再建することにより、永久人工肛門の苦痛を取り除くことを目的として以下の実験を行った。 1)ラットの外肛門括約筋と、体制筋である薄筋を酵素組織化学的染色であるATPーase染色により検討すると外肛門括約筋はType1筋繊維が0.9%、Type2筋繊維が99.1%を占めており、一方、薄筋はType1筋繊維が55.8%、Type2筋繊維が44.2%と極めて異なった分布をしていることが判明した。そこで、薄筋に脱神経処置を行い、外肛門括約筋を支配している陰部神経をdirect neurotization法により移植すると、2週後にはほとんどの筋繊維が未分化で、分化能を有するType2c筋繊維に変化し、8週経過するとType1筋繊維が96.6%、Type2筋繊維が3.4%と外肛門括約筋とほぼ同様の分布に変化し、移植陰部神経の電気刺激に反応して薄筋が収縮することが確認された。 2)ラットにおいては、薄筋は解剖学的にも、形態的にも直腸切断術後の会陰部に移動させ、ひきおろされた結腸の周囲にまきつけることが困難であった。そこで、片側の腹直筋を全長にわたり遊離し、栄養血管をつけたまま皮下を通して会陰部に移動させ、結腸断端周囲にまきつけ周囲組織に固定すると、本来の外肛門括約筋と同様の形態を有する肛門を再建することが可能となった。さらに、1)の実験と同様に、腹直筋を脱神経し、陰部神経を移植した後、酵素組織化学的に腹直筋筋繊維の変化を経時的に観察しながら、内圧検査、筋電図検査により再建肛門の機能を検討中である。
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