1990 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織再生時における反応性グリア細胞の増殖様式の解明
Project/Area Number |
02807130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
設楽 信行 東京大学, 医学部, 講師 (90111517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博彦 東京大学, 医学部, 助手 (30189055)
中込 忠好 東京大学, 医学部, 助手 (90198052)
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Keywords | 脳組織再生 / 反応性グリア細胞 / BraU / GFAP / トランスフェリンリセプタ- / トランスフェリン |
Research Abstract |
脳組織再生時における反応性グリア細胞の増殖様式を解明するため、脳凍結損傷モデルに対し,あらかじめbromodeoxyuridine(BraU)投与後の凍結脳切片に,抗BrdU,抗トランスフェリンリセプタ-(TFR),抗GFAPモノクロ-ナル抗体を用いて免疫組織学的に検討を行った。その結果、以下の知見が得られた。1)BraU陽性細胞は,損傷部位直下の脳内に1日目(D1)出現し,D3,D5,D7では損傷部位内の円形細胞に、ほぼ均一に散在性に存在した。2)GFAP陽性細胞は,D1では認められなかったが、D3で損傷部位と正常脳の境界に認められ,D5,D7では損傷部位内部に向かって進展が認められた。3)TFR陽性細胞は,D1で損傷部位直下の脳に出現し,D3,D5では,主に損傷部位と脳の境界部を中心に広汎に存在した。その後は,時間の経過とともにTFR陽性細胞は減少していった。4)2重染色では,TFR陽性細胞とGFAP陽性細胞は独立して認められたが,両者とも陽性の細胞が,損傷直下の脳内に散存して認められた。これらの結果から次のような結論を得た。 1)凍結損傷後の修復過程において,TFRの発現が証明された。2) TFR陽性細胞の出現は,損傷部直下の脳内よりはじまりGFAP陽性細胞の出現に先行することが示された。3)2重染色により、TFR及びGFAP共に陽性の細胞が存在することが証明された。これらのことは、トランスフェリンが脳凍結損傷後の修復過程に強く関与する可能性が示唆するものである。
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