1990 Fiscal Year Annual Research Report
培養アストロサイトの移植と成長因子の投与による脊髄損傷からの神経再生促進の試み
Project/Area Number |
02807132
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 和雄 大阪大学, 医学部, 助手 (90150341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 英二 大阪大学, 医学部, 助手 (30225388)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
|
Keywords | 脊髄損傷 / 外傷 / グリア細胞 / 成長因子 / bFGF / 神経再生 |
Research Abstract |
1)動物モデル;脊髄損傷モデルへのグリア細胞の移植による神経再生の可能性を探るために、どのような損傷モデルを用いるのが最適かをまず検討した。脊髄全損モデルでは、手術死亡率が高く長期の観察には適さないことが判明した。そこで、私どもの培養系における結果が脊髄後根神経節ニュ-ロンを用いたものであるため、部分脊髄損傷モデルのうちで後索損傷モデルを用いることとした。このモデルでは、神経学的には症状があまり出現しないという欠点は存在するが、生存率も高くまた損傷部の個体差も比較的少なく本研究に用い得ると考えられた。2)グリア細胞の移植;培養細胞の移植法としてまず一般に用いられる浮遊細胞液の注入を試みた。移植グリア細胞のマ-キングとして当初の予定では、PHAーLを用いることにしていたがこのマ-キング法は、培養系では確実になされるが、生体内への移植時には明確な像が得られない事が判明した。他のマ-キング物質を現在検討中である。また、損傷部及びその周囲脊髄への細胞浮遊液注入法は、注入可能液量に制限があり、生着率を考慮するとあまり多くを期待し得ないと考えられた。そこで培養系でのグリア細胞の突起伸展活性が単層培養グリア細胞の表面活性並びに培養上清に由来する事を考慮して、まずメンブランフィルタ-上に幼若グリア細胞を培養した後、そのフィルタ-を損傷部に直接接触させることを現在行っている。3)成長因子;成長因子として塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)に着目した。脊髄損傷モデルに応用する前段階として、大脳皮質体性感覚領野の除去モデルにおいてその効果を検討した。その結果、bFGFの局所投与が従来より知られている視床神経細胞の逆行性変性に対し防止効果を有する事が明かとなり脊髄損傷部においても周囲環境の修飾を行う事により再生現象の発現に寄与し得るのではないかと期待している。
|
-
[Publications] 湯口 貴導: "体性感覚領野除去後の視床神経細胞の逆行性変性ー塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)による変性防止効果ー" 神経組織の成長・再生・移植. 2. 62-63 (1990)
-
[Publications] 甲村 英二: "ラット胎仔脊髄後根神経節ニュ-ロンの幼若大脳アストロサイト上での培養" 日本臨床. 47. 2636-2637 (1990)
-
[Publications] Kohmura E: "Rescue of thalamic neurons from retrograde degeneration after ablation of the somatosensory cortex in rats by recombinant basic fibrolast growth factor." Neurosurgery.