1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02807141
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
島屋 正孝 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30201552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 直秀 奈良県立医科大学, 医学部, 大学院生
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Keywords | 生体材料 / 人工四肢 / 経皮端子 / 人工臓器 / ポリマ- |
Research Abstract |
平成2年度の動物実験は主に兎とラットを用いて行われた。ポリエチレン製の経皮端子の平滑な表面にコラ-ゲンを固定化し、端子と真皮部分とを選択的に縫合する方法は、初期の固定力が優れており、表皮細胞の外方への移動にも影響されないため端子と皮膚との比較的良好な接着が得られたが、24週以上の長期の観察では界面の剥離が観察される例も見られた。CAPD(持続外来腹膜潅流)、人工透析の外シャント、人工心臓ドライブライン、等に供する経皮端子に比べて、人工四肢に用いる経皮端子には強い外力が加わることが予想され、さらに強い界面強度を得るためには経皮端子のデザインの変更が不可欠と判断された。 実際に人工四肢を取り付ける実験は、成犬2頭、山羊1頭を用いて行ったが、いずれも失敗に終わった。特に、犬を用いた例では、経皮部分を咬んで破壊してしまうため、今後は山羊の使用が不可欠であると考えられた。 以上のように、長期間埋入後の経皮端子と皮膚との結合力が予想以上に弱いことが判明した。この主要な原因は、経皮端子と真皮膚部分とを選択的に縫合している縫合糸の緩みによるものであったが、その緩みの主因は糸のクリ-プ変型や結節部の辷りによるものではなく、糸に囲まれた組織の縮小によるものと思われた。このために2種類の経皮端子を試みている。一方は現在の方法でさらに皮膚との固定力を強化するために、真皮をポリエステルメッシュで補強し、補強層と端子とを顕微鏡下に縫合する方法であり、また一方は、周囲の皮膚をロッド状に形成し、その内側に20mm以上の長い経皮端子を通す方法である。どちらのデザインが有用であるかはまだ判明していない。
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