1990 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外麻酔は出血性ショックに対する保護作用を有するか
Project/Area Number |
02807146
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
高崎 眞弓 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (30094212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
莫根 正 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90202564)
吉山 賢一 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90230820)
義川 剛太郎 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20220600)
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Keywords | 硬膜外麻酔 / 出血性ショック |
Research Abstract |
麻酔中に出血性ショックが発生したとき、全身麻酔(全麻)より硬膜外麻酔(硬麻)のほうが生存率が高いという報告があるが、全麻と硬麻で差があるかどうかを、生存率、呼吸、循環、代謝、内分泌機能をもとに比較検討した。【方法】雑種成犬22頭を対象とし、ハロセン麻酔下に両大腿動脈、肺動脈、硬膜外(T_<13>)にカテ-テルを挿入した。0.5%ハロセン麻酔のもとで対照値を測定し、対象を3群に分けた。1群は0.2%ハロセン併用硬麻群(n=7)、2群は0.2%ハロセン麻酔群(n=7)、3群は0.8%ハロセン麻酔群(n=8)である。硬麻には2%メピバカインを0.4ml/kg投与後0.4ml/kg/時で連続注入した。麻酔が安定した30分後に測定を反復し、その後の30分間に35ml/kgの脱血を行った。以後30分ごとに測定を反復した。測定項目は心拍数、動脈圧、肺動脈圧、中心静脈圧、肺動脈楔入圧、心拍出量、動脈血pH、PaO_2は、PaCO_2、base excess(BE)、PvO_2、血糖、血中乳酸、エピネフリン、ノルエピネフリンとした。【結果】2群の2頭が途中で死亡した。ほかの群に死亡したものはなかった。動脈圧と肺動脈圧は脱血によって著明に低下した。1群の動脈圧はその後も20〜30mmHgの低値にとどまったが、2群と3群では徐々に回復した。脱血によって動脈血pHは低下し、BEは減少した。減少の程度は3群が最も少なかった。エピネフリンとノルエピネフリンは、1群で全く増加しなかったが、2群と3群で増加した。特に2群で著明であった。【総括】麻酔中の出血性ショックに対しては、浅い全麻(2群)より中等度の全麻(3群)のほうが成績がよかった。硬麻併用の全麻(1群)と比べても、中等度全麻のほうが成績がよかった。広範囲の硬麻は、出血性ショックに対する保護作用はない。今後、範囲の狭い胸部硬麻との比較が必要である。
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