1991 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石症の成因に関する研究.ことに生体膜における蓚酸処理能の検討
Project/Area Number |
02807148
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川村 寿一 三重大学, 医学部, 教授 (70026839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 謙輔 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (00230326)
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Keywords | 蓚酸 / 赤血球膜 / 蓚酸輸送速度 / 腎近位尿細管 / 管腔側膜・血管側膜小胞 / 小腸上皮粘膜小胞 / ナトリウム・蓚酸共輸送系 / 蓚酸:重炭酸交換系 |
Research Abstract |
本研究では赤血球膜、蓚酸吸収、排泄に関与する小腸及び腎上皮細胞膜において蓚酸輸送について生体膜に共通した類似点をしらべた。 1.赤血球膜における蓚酸輸送速度は健常対照例に比して、蓚酸カルシウム結石患者では亢進しており、本反応はDIDSの如き陰イオン交換阻害剤で阻害された。 2腎近位尿細管の管腔側及び血管側には共に蓚酸:OH^-交換系のほかに蓚酸:HCO_- ^-交換系の存在することが証明され、同一輸送系を介して2種の蓚酸交換が行われることがわかった。 3.小腸上皮細胞においてナトリウムの存在が蓚酸吸収を促進し、ナトリウム共輸送の存在が示唆された。このことはヒトにおいて蓚酸負荷時ナトリウム同時投与に反応して尿中蓚酸排泄の増加したことからもうなずける。 赤血球膜、腎上皮、小腸上皮の三生体膜において、赤血球膜での蓚酸輸送速度の亢進は、蓚酸の小腸での吸収亢進、腎での排泄亢進につながる事柄と解釈される。しかし、蓚酸の輸送担体や結石患者での蓚酸輸送の異常の検討は将来に残された課題である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yamakawa,K: "Oxalate:OH exchange across rat renal cortical brush border membrane" Kidney International. 37. 1105-1112 (1990)
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[Publications] Yanagawa,M: "The formation of oxalate from glycolate in rat and human liver" Biochimica et Biophysica Acta. 1036. 24-33 (1990)
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[Publications] 加藤 貴裕: "蓚酸カルシウム結石患者赤血球膜におけるoxalate influx rateの検討" 泌尿紀要. 37. 837-844 (1991)
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[Publications] 山川 謙輔: "尿路結石症:基礎と臨床一促進物質としての蓚酸の役割" 泌尿紀要. 37. 1111-1114 (1991)
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[Publications] 川村 寿一: "腎尿管結石モデル" 腎と透析 臨時増刊. 520-524 (1991)
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[Publications] 越川 昭三 他編,川村 寿一: "Annual Review腎臓1990(IV.問質・尿細管。尿細管蓚酸代謝)" 中外医学社, 298 (1990)
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[Publications] Mochizuki M et al (Ed.),川村 寿一: "Geographical nephrology,(Epidemiology of renal stone disease in Japan.)" International Center for Medical Research(ICMR)Kobe Univ Sch Med,Japan, 226 (1991)