1991 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症における卵管采卵捕獲抑制因子(OCI)に関する研究ー抗OCI抗体の作成、免疫学的OCI測定法の開発およびOCIの局在、産生、分泌に関する検討ー
Project/Area Number |
02807152
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中橋 徳文 愛媛大学, 医学部, 助手 (90217810)
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Keywords | 子宮内膜症 / OCI / レクチン |
Research Abstract |
子宮内膜症患者腹水(PF)中には卵管采による卵捕獲を抑制する因子(ovum capture inhibitore:OCI)が多量に存在する。OCIは走査電子顕微鏡で卵管采表面に膜様物質(OCI related membrane:OCIRM)を形成しその活性を発揮するが、これは、実体顕微鏡下でも観察される。またOCIRMは線維状部分と無構造の埃状部分より形成される。今回、このOCI活性を有する因子の同定を目的として、以下の実験を行った。1)OCIRMをantiーfibrinogen antibody、antiーPF(家兎に免疫し抗PF抗体を作成)にて染色した。また両者による抗OCI活性を検討した。OCIRMの線維状部分は両者により染色されたが、埃状部分は染色されなかった。両者によりOCI活性は抑制されなかったが、OCIRMの線維状部分は形成されず埃状部分のみ認められた。またPFにThrombinを添加しfibrin clotを生成除去したPFにおいてもOCI活性は認められたが、埃状部分のみ観察された。2)種々のレクチンにより1)と同様の検討を行なった。OCIRMはある種のレクチン(ConーA,WGA)により染色された。またレクチンはPFと沈殿物を形成しその上清では、OCIRMは形成されなかった。3)OCI活性と、総蛋白濃度、fibrinogen濃度、レクチンにより生成される沈殿物量との相関を検討した。総蛋白濃度、fibrinogen濃度とは相関が認められず、ある種のレクチン(Lentil)沈殿物との相関が認められた。以上の結果より、OCIはフィブリノ-ゲンとそれ以外の糖鎖を有する物質(レクチン結合物質)とによりその活性を発揮するが、フィブリノ-ゲンはその活性発現に必須ではなく、レクチンと結合する糖鎖を有する物質がOCI活性に重要である事が示唆された。
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