1990 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸癌発生過程における癌遺伝子ならびに癌抑制遺伝子発現に関する研究
Project/Area Number |
02807153
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
寒河江 悟 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00187056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50158937)
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Keywords | 子宮頚癌 / ras oncogene / myc oncogene / p53 遺伝子 / Rbー1遺伝子 / heat shock protein / in situ hybridization / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
我々は癌遺伝子、癌抑制遺伝子、および癌抗原の抗体レベル、mRNAレベルでの発現を婦人科悪性腫瘍について研究してきた。 まず癌遺伝子の研究では、免疫組織化学的にras癌遺伝子産物p21に対するモノクロ-ナル抗体を用いて、子宮頚癌・卵巣癌について腫瘍の悪性化に伴ってその発現率が上昇していたことを確認した。またさらにヒトビオチン化DNAプロ-ブを用いて活性型ras癌遺伝子をin situ hybridization法にて検出する方法をほぼ確立した(平成2年日本産科婦人科学会にて発表、麦倉ら 札幌医誌 in press)。そしてras癌遺伝子をprobeとして用いたin situ hybridization法でも免疫組織化学と同様の結果が得られた。さらに子宮頚癌についてはHPV16型プロ-ブを用いて現在癌遺伝子との相互関係を検討しているが、いまだ症例数が少ない。 一方癌抑制遺伝子p53では、免疫組織化学的に子宮頚癌・卵巣癌の悪性化に伴って、癌遺伝子とは逆にその発現率が減少していることが確認された。抗体レベルのp53染色については平成2年日本婦人科病理コルポスコピ-学会で発表したが、入手した抗体が正常型が変異型かはっきり認識できないのであるが、現時点では陽性症例に予後良好例がおおく、正常型の可能性が高い。症例を増やすと共に平成3年3月日本産科婦人科学会での発表を予定している。また現在、癌抑制遺伝子p53をprobeとして用いたin situ hybridization法、癌患者より血液と腫瘍によりDNAを抽出し、southern法によりヘテロ接合性の消失を検索し、癌抑制遺伝子の部分の欠失があることの確認、また癌抗原であるheat shock proteinが変異型p53と結合するとの報告もあり、その免疫組織化学的検索、加えてp53、heat shock proteinの抗体を用いたwestern法について研究中である。またRbー1遺伝子についてもシステムを開発中であり、平成3年度中には子宮頚癌の癌化過程におけるp53・Rbー1遺伝子の関与について報告する。
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