1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期同調培養下における細胞成長因子・癌遺伝子の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
02807154
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Research Institution | IWATE MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井筒 俊彦 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (00103739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 明宗 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20208937)
佐藤 昌之 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20183387)
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Keywords | EGF / EGFR / c-myc / Ha-ras / Endometrial cencer |
Research Abstract |
核内蛋白型癌遺伝子であるmyc familyとGTP結合蛋白型癌遺伝子であるRas familyは、細胞の増殖、分化の制御に大きな役割をはたしており、これら癌遺伝子の発現の増加が癌細胞では顕著に認められることが知られている。我々は、C-mycおよびHa-ras癌遺伝子産物より作成されたモノクローナル抗体を用いてflow cytometryにより検討を行った結果、ヒト子宮内膜腺癌由来培養細胞Ishikawa(IK)においてC-mycおよびHa-rasが共に発現していることを見い出した。この結果をもとに細胞周期同調作用を有するThymidine(TDR)、Sodium butylate(SB)を用いて、細胞周期同調時におけるC-myおよびHa-rasの発現の変化について検討を行った。C-myc癌遺伝子産物より作成されたモノクローナル抗体を用いた検討では、TDR添加1.5時間群(A群)、TDR添加3時間群(B群)は対照群に比しS期細胞の著名な増加が見られた。またSB添加24時間群(C群)、SB添加48時間群(D群)、SB添加72時間群(E群)では、D群、E群においてG_2+M期細胞の軽度増加が見られた。myc蛋白の発現は、A群ではすべてのcycle phaseで増強したが、B群では対照群とほぼ同様の発現状態を示した。またC群ではその発現が低下したが、D群では一時増強し、E群では再度軽度の低下が見られた。このことよりmyc蛋白の発現は、TDR、あるいはSB添加により一定の傾向を示さなかった。Ha-ras遺伝子産物より作成されたモノクローナル抗体を用いた検討では、細胞周期の変化は前者と同様の結果が得られた。Ras蛋白の発現は、A群、B群ともすべてのcyclephaseで増強し、この事はC、D、E群でも同様であった事よりTDR、SB添加によるRas癌遺伝子の増幅が示唆された。
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[Publications] 黒川 賀重: "子宮頸部癌化過程におけるEpidermsl growth factor発現の意義に関する免疫組織化学的研究" 日本臨床細胞学会雑誌. 31(4). 577-583 (1992)
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[Publications] 井筒 俊彦: "子宮内膜癌に対するProgestogen投与の組織学的効果とDNA合成細胞の変動との関連性" 日本産科婦人科学会雑誌. 44(10). 1227-1232 (1992)