1990 Fiscal Year Annual Research Report
先天多発奇形の分子遺伝学的解析とそれに基づく出生前診断
Project/Area Number |
02807156
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩崎 克彦 東海大学, 医学部, 助教授 (10119646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守内 哲也 東海大学, 医学部, 助教授 (20174394)
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Keywords | 先天奇形 / ホメオボックス遺伝子 / PCNA / DNAポリメラ-ゼβ / γークリスタリン / DNA複製遺伝子 |
Research Abstract |
1.先天奇形におけるDNA複製遺伝子の異常に関する研究 我々は先天奇形の1例においてDNAポリメラ-ゼδ補助蛋白(PCNA)、DNAポリメラ-ゼαおよびβ遺伝子に遺伝子異常のある症例を発見したことから、重症先天奇形15例にDNAを10種類以上の制限酸素で消化してそれぞれをサザンプロット解析を行なった。しかし最初の1例を除いてその他の症例ではDNA複製遺伝子の異常を見出すことはできなかった。健常人のDNAについても検索を行なった結果、95人中1人にDNAポリメラ-ゼβとγークリスタリンの両遺伝子に異常のある例を見出した。この人は病弱ではあるが、奇形は見られなかった。 2.先天奇形におけるホメオボックス遺伝子の異常に関する研究 15例のDNAを10種類の制限酵素で消化して、それぞれをHox4遺伝子クラスタ-に属するHox4B遺伝子のcDNAプロ-ブ(c13)を用いてサザンブロット解析を行なった。しかしいずれの症例でも異常なバンドも多型性も全く検出されなかった。そこで我々はHox4B遺伝子に隣接する正常人のHox4A遺伝子をクロ-ニングして、これをプロ-ブにして先天奇形のHox4A遺伝子を調べた。しかしこの新して遺伝子についても異常および多型性は見られず、ヒトホメボックス遺伝子は非常に強固に保存されていると考えられた。Hox4の近傍にある多型性DNAマ-カ-(CRYG:γークリスタリン遺伝子)による検索では、重症先天奇形の遺伝子座がγークリスタリンの遺伝子座と連鎖することが示されているのでHox4遺伝子クラスタ-の発現調節領域にサザンブロット解析では検出できないなんらかの異常が存在する可能性が残されている。従って、Hox4Aゲノムクロ-ンの5'調節領域のDNA断片をプロ-ブとして再度検索をおこなう必要があると考えられた。
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[Publications] Yamaguchi,M.: "Drosophila PCNA/cyclin gene:Structure,expression during development,and specific binding of homeodomain proteins to its 5'ーflanking region." Mol.Cell Biol.10. 872-879 (1990)
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[Publications] Moriuchi,T.: "Proliferating cell nuclear antigen(PCNA):a nuclear protein engaged in eukaryotic DNA replication for one billion years." Med.Sci.Res.18. 911-915 (1990)
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[Publications] 平園 賢一: "Robert syndromeの一症例" 日本産科婦2科学会神奈川地方部会会誌. 27. 75-78 (1990)
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[Publications] 岩崎 克彦: "超未熟児、極小未熟児の予後" 産科と婦人科(診断と治療社). 57. 727-731 (1990)
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[Publications] 岩崎 克彦: "分娩後異常出血をきたしICU管理を必要とした子宮内反症症例" 周産期医学. 20. 1615-1618 (1990)
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[Publications] 松山 毅彦: "子癇に対する処理" 日本産科婦人科学会神奈川地方部会会誌. 27. 26-31 (1990)
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[Publications] Matsuyama.T.: "Perinatal Thrombosis and Hemostasis" SpringerーVerlag Tokyo, 8 (1990)