1991 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品開発を指向したイソステリック・ペプタイドの高効率旦つ立体特異的キラル合成
Project/Area Number |
02807190
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井深 俊郎 京都大学, 薬学部, 助教授 (80025692)
|
Keywords | 有機銅 / antiーSN2^1反応 / ジペプチド / イソスタ- |
Research Abstract |
今日,種々のペプタイド系プロテア-ゼ阻害剤が発見され,それらの生物活性,作用機構などが次第に明らかになるにつれ,天然ペプタイドよりも有効なペプタイド系医薬品の開発が強く望まれている.通常のペプタイドはプロテア-ゼにより急速に失活し,経口投与が困難であり,安定性に欠けるなど問題のある場合が少なくない.これらの問題を解決すべく,本報告者は提出した計画に従って研究を行ない,トランス・アルケン・ジペプチド・イソスタ-の高効率旦つ立体特異的キラル合成に成功した. 1.有機銅・三フッ化ホウ素と基質との反応における基質の立体化学,即ち(E),(Z)ーについての影響を検討した.その結果(E)または(Z)α,βー不飽和エステルの何れからもantiーSn2^1の反応経路でジペプチドイソスタ-を与えることを明らかにした.またδー位のBocアミノ基は反応経路に影響を与えないことも明らかにした. 2.ψ〔(E)CH=CH〕ーGLy型のトランス・アルケン・イソスタ-の合成にはδーアミノ酸ーγーメシルオキシーα,βー不飽和エステルにアルケニル銅を作用することにより容易に合成できることを明らかにした. 3.トランス・アルケン・ジペプチド・イソスタ-のα位のアルキル基の絶対配置は円=色性のコットン効果の正負の符号により容易に決定できることを明らかにした. 4.合成したイソスタ-のN未端及びC未端にアミノ酸を結合させ,新しいペプチドを合成した.現在これらの活性を検討中である. 以上のごとく本研究により従来困難とされてきた多くの官能基を有するトランス・アルケン・ジペプチド・イソスタ-の高効率旦つ立体特異的合成法を開発することができた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 井深 俊郎: "A Highly Stereoselective Synthesis of(E)ーAlkene Dipeptide Isosteres via OrganocyanocopperーLewis AcidーMediated Reaction." J.Org.Chem.56. 4370-4872 (1991)
-
[Publications] 藤井 信孝: "A Simple Synthesis of ψ[(E)CH=CH]Gly Dipeptide Isosteres via Reductive Elimination of γーOxygenatedーα,βーenoate with Alkenyl Copper Reagents." Tetrahedron Letters. 32. 4969-4972 (1991)
-
[Publications] 山本 嘉則: "Higher Order Zinc Cuprate Reagents:Very High 1,3ーChirality Transfer Reaction of γーMesyloxyーα,βーUnsaturated Carbonyl Derivatives" J.Org.Chem.57. (1992)
-
[Publications] 井深 俊郎: "New Aspects of Organocopper Reagents:1,3ーand1,2ーChiral Induction,Natural Product Synthesis,and Mechanism" Synlett.(1992)