1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血清アルブミン及びα_1ー酸性糖蛋白質分子上の薬物結合サイトの微環境解析
Project/Area Number |
02807196
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小田切 優樹 熊本大学, 薬学部, 教授 (80120145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 輝子 熊本大学, 薬学部, 教務員 (70176478)
今村 順茂 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30040314)
合屋 周次郎 熊本大学, 薬学部, 教授 (50004560)
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Keywords | ヒト血清アルブミン / α_1ー酸性糖蛋白質 / 薬物結合サイト / 微環境解析 / 螢光プロ-ブ / 疎水性 / 至適サイズ |
Research Abstract |
本研究では薬物の輸送蛋白としての役割を果しているヒト血清アルブミン(HSA)及びα_1ー酸性糖蛋白質(AGP)分子上の薬物結合サイトの微環境を明らかにする目的でHSA及びAGPに特異的に結合する螢光プロ-ブを開発して,薬物の螢光特性(螢光極大波長,量子収率,エネルギ-移動,偏光測定など)及び蛋白結合性を調べ,薬物結合サイトの特性とサイト間の立体的関係について検討したところ,以下の知見を得た。 (1)HSA及びAGP分子上の薬物結合サイトの種類を明らかにするため,既知,新合成品を併せ,数十種類のプロ-ブを用いて,主に螢光スペクトル法により調べたところ,巨視的に見た場合,従来の仮説通り,HSAには3種類,AGPには1つの薬物結合サイトが存在することが確かめられた。しかし微視的に見た場合,各々のサイトは複数の小サイトが重なり合って複合的に形成された領域であることが判明した(日本薬学会第110年会・札幌(1990・8月),第13回日本薬学会九州支部コロキウム・熊本(1990・6月)発表,Chem.Pharm.Bull.38,1688(1990),Biochem.Pharmacol.1991 掲載予定)。 (2)HSAの場合,何故サイトI,II,IIIと呼ばれる複数の薬物結合サイトが存在するかという問題については全く不明なので,この問題に取り組んだところ,微環境解析の結果から,これらのサイトの疎水性,至適サイズなどが異なることが判明し,このことが一因で薬物が結合サイトを認識している可能性が強く示唆された(第13回日本薬学会九州支部コロキウム・熊本(1990・6月)発表,J.Pharm.Sci.投稿中)。 (3)AGPを脱アシル化したアシアロAGPに対する薬物結合実験の結果から,シアル酸は薬物結合に直接関与しない可能性が強く示唆された(第5回日本薬剤学会・千葉(1990・9月)発表,J.Pharm.Pharmacol.1991掲載予定)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Otagiri: "Effects of Tricyclic Drug on Induced Circular Dichrois Spectra of Dicumarol Bound to α_1ーAcid Glycoprotein" Biochem.Pharmacol.41. (1991)
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[Publications] T.Miyoshi: "Investigation of Interaction Mode of Phenothiazine Neuroleptics with α_1ーAcid Glycoprotein" J.Pharm.Pharmacol.43. (1991)
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[Publications] 小田切 優樹: "蛋白質結合実験法ー血中蛋白結合の測定および薬物動態に与える影響" 廣川書店, 154 (1991)