1990 Fiscal Year Annual Research Report
中和活性を有する新しい自己抗体,抗ILー1抗体の産生機序に関する研究
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02807207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博史 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00179243)
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Keywords | インタ-ロイキン1(ILー1) / 抗ILー1α自己抗体 / 抗サイトカイン自己抗体 / インタ-ロイキン6(ILー6) |
Research Abstract |
我々は、慢性関節リウマチ患者血清中に多く見いだされるILー1α特異的抑制因子がILー1αに対するIgG抗体であることを証明した。この抗体の産生機序ならびに臨床的意義を明らかにするため抗ILー1α自己抗体の定量的測定法を開発した。我々が開発した方法は、protein Aセファロ-スに一定量の血清IgGを結合させ、 ^<125>IーILー1αと反応させることによって抗体と結合したILー1αの量をガンマカウンタ-によって測定した。その結果、正常人では抗ILー1α自己抗体陽性血清の頻度は約5%であるのに対し、慢性関節リウマチ患者では約15%と3倍の陽性頻度を示した。同じ方法によって、 ^<125>IーILー6と ^<125>IーTNFーαを用いて、それぞれILー6およびTNFーαに対する自己抗体の出現について検索した。ILー6に対する自己抗体は正常人では2%にしか検出されなかったが、強皮症患者では約18%にこの抗体が検出され、有意に出現頻度が増加していた。TNFに対する自己抗体は、正常人や慢性関節リウマチ患者ではほとんど検出されず、全身性エリテマト-デス患者の10%程度に検出された。このように、異なる炎症性疾患によって異なるサイトカインに対する自己抗体が出現することが明らかになった。特にILー1αとILー6に対する自己抗体には、強い中和活性が確認され生体内での調節作用が推測された。現在、抗ILーー1α自己抗体の認識するILー1α分子のエピト-プマッピングを10ー20程度の長さの合成ペプチドを作成して調べているところである。この研究により中和活性とエピト-プとの関係が明らかにされる思われる。また、抗サイトカイン抗体の研究の今後の大きな展開としては、強い抗体活性を持つ患者よりヒト型のモノクロナル抗体の作成があげられる。現在、ILー1αおよびILー6に対するヒト型モノクロナル抗体の作成を試みている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Demonstration of neutralizing autoantiboclies against ILー1α in sera from patients with rheumatoid archritis" Journal of Immunology. 145. 2140-2146 (1990)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Antiーinterleukin 1α autoantiboclies in rheumatic diseases and in normal subjects" Clinical Experimental Immunology.
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[Publications] Hiroyuki Takemura: "Increased frequency of antiーILー6 autoantiboclies in patients with systemic sclerosis" Arthritis and Rheumatism.
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[Publications] 鈴木 博史: "リウマチ性疾患と抗インタ-ロイキン1自己抗体" リウマチ科. 3. 199-204 (1990)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Molecular biology of cytokine effects on vascular endothelial cells.International Review of Experimental Pathology vol.32(印刷中)" Academic Press, (1991)