1991 Fiscal Year Annual Research Report
中和活性を有する新しい自己抗体,抗ILー1抗体の産生機序に関する研究
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02807207
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Research Institution | Institute of Clinical Medicine, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博史 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00179243)
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Keywords | ILー1 / ILー6 / 自己抗体 |
Research Abstract |
ILー1αに対するヒトのモノクロ-ナル抗体の作成を試みた。抗体価の高い症例よりリンパ球を分離しEBーvirusでトランスフォ-ムし、96ウエルの培養プレ-トの播き、増殖してきたB細胞株上清中の抗ILー1α抗体の検出を行なった。平均2ー3ウエルに抗体が検出され、これら陽性ウエルよりの細胞の増殖を行なった。しかし、B細胞株の増殖の過程でいずれも抗体産生が検出出来なくなった。30回以上トランスフォ-ムを試みたが、ハイブリド-マ細胞株との細胞融合まで抗体産生クロ-ンを増やすことができず、従ってヒト由来の抗ILー1αモノクロ-ナル抗体を作成することは出来なかった。 一方、ILー1αおよびILー6に対する自己抗体の免疫学的および病態生理的研究ではいくつかの成果が得られた。抗ILー1α自己抗体の親和性はきわめて高く(Kd10^<ー11>1/M程度)、また中和活性と抗体の結合活性の関係よりこの自己抗体は、非常に限局されたILー1α分子上のエピト-プを認識し、親和性においても均一な抗体であることが示された。この結果はILー1αの特定の領域が、遺伝的制御のもとで免疫応答を引き起こす可能性を示唆するものであり、自己抗体の産生機序解明の新たなアプロ-チを提供すると考えられた。また、ILー6に対する自己抗体の存在が証明された。この抗体は抗ILー1α自己抗体とは異なる特徴を有している。抗ILー6自己抗体の正常人での陽性頻度は抗ILー1α抗体に比べてはるかに低く、約2%であり、強皮症ではその約9倍と頻度の増加が認められた。しかも、限局型の強皮症では陽性頻度は約42%とさらに高く、抗ILー6抗体の出現が強皮症の病態生理と結びついていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takemura Hiroyuki: "Antiーinterleukinー6 autoantibodies in Rheumatic disanses.Significant increase of pos:tive sera in patitients with systemle sclensis" Arthritis Rheum.
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[Publications] Suzuki Hiroshi: "AntiーILー1α autoantibodies in patients with rheumatic diseases and in healtly subjects" Clinical Experimental Immunology. 85. 407-412 (1991)
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[Publications] Suzuki Hiroshi: "Molecular biology of cytokine ettects on vascular endothelial cells" International Review of Experimental Pachology. 32. 95-148 (1991)
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[Publications] 鈴木 博史: "抗サイトカイン自己抗体と炎症" 炎症. 11. 415-420 (1991)
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[Publications] 鈴木 博史: "内皮細胞とサイトカイン 内皮細胞の活性化を中心として" 現代医療. 23. 3111-3114 (1991)
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[Publications] 鈴木 博史: "サイトカインに対する自己抗体の意義" 臨床免疫. 23. 1800-1804 (1991)