1992 Fiscal Year Annual Research Report
現象学的存在論の視座からの看護婦ー患者関係に関する調査研究
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02807219
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Research Institution | St.Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
伊藤 和弘 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (80184646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (30194947)
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Keywords | 現象学 / 存在論 / 関係性 / 看護婦ー患者関係 / 相互的自己変容 |
Research Abstract |
本研究は、看護婦と患者双方の人間存在としての相互的な「自己変容」という問題を取り上げ、その促進要因と阻害要因とを明確にすることを研究目標としている。この研究目標に沿って、今年度更に調査研究を進めた結果、以下のごとく、前年度に記した「暫定的な仮説」の大半を支持する仮説が改めて得られた。 1.看護婦は、患者との関係は「人間」と「人間」との関係が基本だと認識している。この認識は看護婦としての業務上の必要から望ましいとの判断から生じている。2.しかしながら、看護婦は、現実的には、上記1の関係が成立していることは極めて少ない、と判断している。3.看護婦は、患者と関係(会話)する時間(余裕)が極めて少ないと判断しており、このことに不満を抱いている。4.看護婦は、上記3の問題の原因として、看護人員数や「雑用」の問題を挙げている。5.看護婦は、患者との会話等の関係を通して「人間」として深い意味での「自己変容」を遂げることは少ない、と認識している。6.患者は、看護婦との関係を「人間」と「人間」との関係とは認識していない。むしろ、医療の場における指導する側、指導される側という関係として認識している。7.患者は、看護婦との関係(会話)を欲している。8.患者は、看護婦との関係(会話)を通して、医療上の知識および情緒的な安定を得たいと欲している。9.患者は、看護婦と関係(会話)を持つ時間が少ないと認識している。10.患者は、看護婦の忙しそうな様子を認識して関係(会話)を控えている。11.患者には、上記9の点について、現状に不満を抱いているタイプと現状で十分だと認識しているタイプの二つのタイプがみられる。12.患者は、看護婦との関係を通して「自己変容」を遂げたことはないと認識している。それほど深い関係を看護婦と持ってはいないと認識している。
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