1990 Fiscal Year Annual Research Report
実験的甲状腺癌細胞に特異的に発現する蛋白の分子生物学的研究とその臨床応用
Project/Area Number |
02807223
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
遠藤 登代志 山梨医科大学, 医学部, 講師 (00152017)
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Keywords | 甲状腺 / 癌 / 腫瘍マ-カ- / 熱ショック蛋白 / GRP78蛋白 / 甲状腺乳頭癌 |
Research Abstract |
申請者はラット甲状腺培養細胞,FRTL,より悪性形質転換株FRTLーTcを樹立し,これらが人甲状腺分化癌の有用なモデルたりうる事を報告し、更に、FRTCーTc細胞の諸性質を明らかにする目的にて、この細胞に著増している蛋白のCDNAクロ-ニングに成功した。第一のクロ-ン(クロ-ンNO.17)は甲状腺に豊富に存在するサイログロブリン,ペルオキシダ-ゼ以外の蛋白であり,第二のクロ-ン(クロ-ンNo.13)はリボゾ-ム構成蛋白PoのCDNAであり、第三のクロ-ン(クロ-ンNo.140)は全く未知の蛋白のCDNAであった。 クロ-ン17は甲状腺に多量に含まれ、FRTLーTcでの発現も増加しているため、この蛋白を使っての臨床応用の可能性を考慮し、先づこのCDNAの全塩基配列を決定した。その結果,クロ-ン17はラットのGRP78蛋白(熱ショック蛋白の一種)と100%相同であった。 そこで,GRP78の甲状腺細胞内での発現機構について解析を行なった。FRTL細胞内においては,GRP78mRNAはTSHにより増加することが判明した。このTSHの効果はdibutyryl cAMPにても同様に慮起された。Nuclear runーoff assayを施行した結果,TSHのGRP78mRNA増加作用は、転写活性の増加による事が明らかとなり、Cycloheximide添加実験により、この作用には、onーgoing proteinの合成を介して行なわれることも判明した。 一方、人甲状腺乳頭癌組織、7例よりmRNAを調製し、GRP78蛋白の発現量を検討したところ、周辺正常組織に比し、10〜20倍増加している例が2例存在していた。機序等については不明の点もあるが、GRP78蛋白が甲状腺癌組織を特徴づける蛋白の可能性もあり、今後クロ-ン140の解析を含め,更に人甲状腺癌での役割について追求する必要があると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikeda,M.et al.: "Thyrotropin stimulates the expression of an acidic ribosomal protein,PO,mRNA in cultured rat thyroid (FRTL) cells" Endocrinolgy.
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[Publications] Endo,T.et al.: "Thyrotropin stimulates glucoseーregulated protein (GRP 78) gene expression in rat functional thyroid epithelial cells,FRTL" Mol.Cell.Endocrinol.