1991 Fiscal Year Annual Research Report
βーシトステロ-ル血症の遺伝的異常と病態に関する研究ーステロ-ル吸収機構の異常部位と異常リポ蛋白代謝の検討ー
Project/Area Number |
02807225
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
日高 秀樹 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80156603)
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Keywords | シトステロ-ル血症 / 遺伝性疾患 / リポ蛋白代謝 / 動脈硬化症 / 家系調査 / 植物ステロ-ル |
Research Abstract |
βーシトステロ-ル血症は、ステロ-ル吸収の特異性の欠如により本来は吸収されない植物性ステロ-ルが血中、組織中に著明に増加して、全身性の黄色腫と若年性の動脈硬化症を来す稀な遺伝的疾患である。この疾患を有する家系の臨床的検討では、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症をはじめとした早発性動脈硬化症が認められた(Hidaka.H.et al J Lipid Res 31:881ー888,1990)。 この動脈硬化症の機序をリポ蛋白代謝の面より明らかにすることを目的に以下の実験を行った。ヒト培養線維芽細胞、マクロファ-ジ細胞株J774細胞を用いて、この疾患を有する患者の低比重リポ蛋白(LDL)代謝を放射性オレイン酸のコレステロ-ルエステル分画へのリポ蛋白存在下の取り込みにて検討すると、健常者のLDLとの間に差を認めなかった。動脈硬化症に防御的に働くとされる高比重リポ蛋白(HDL)の生理的役割とされるコレステロ-ルの逆転送活性を、ヒト培養線維芽細胞、マウス腹腔内マクロファ-ジを用いて検討すると、患者HDLによる放射性コレステロ-ルの細胞よりの引き抜きは少なく、この異常が動脈硬化症に関係する可能性も考えられた(中村、日高ほか 第23回日本動脈硬化学会総会にて発表)。さらに、この機序を明らかにするため、ステロ-ル組成を変えたリポゾ-ムによる実験を行うと逆転送の低下は、ステロ-ル組成の違いによると考えられた(中村、日高ほか 平成3年度動脈硬化学会冬季大会にて発表)。しかし、患者体内の細胞膜のステロ-ル組成と血中のリポ蛋白のステロ-ル組成は近似していたことから、この現象のみより本疾患の早発性動脈硬化症は説明困難であり、今後リポ蛋白の変性などに関する検討が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okabe H.,Ochi Y.,Hidaka H.,et al.: "Immunohistochemical analysis of spinal intradural xanthomatosis developed in a case of phytosterolemia." Acta Neuropathologica. (1992)
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[Publications] Hidaka H.,et al.: "Familial spinal xanthomatosis with sitosterolemia."