1990 Fiscal Year Annual Research Report
膵B細胞のグルコ-ス認識機構ー甘味受容機構との関連ー
Project/Area Number |
02807229
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
仁木 厚 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60064812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁木 初美 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (90064815)
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Keywords | グルコ-ス / 膵B細胞 / 甘味受容細胞 / グルコ-ス認識機構 / αアノマ- / βアノマ- / アロキサン / acesulfame |
Research Abstract |
膵B細胞のグルコ-ス認識機構を解析するため,甘味受容細胞のレセプタ-に作用する各種物質の,グルコ-スによるインスリン分泌に対する影響を検討し,次の結果を得た。 1.特異的競合的甘味阻害剤であるpーnitrophenylーDーglucopyranodideのαアノマ-は,膵島グルコ-ス酸化を阻害することなく,グルコ-スによるインスリン分泌を用量依存的に阻害するのに対して,βアノマ-にはこの作用がほとんど見られないことを報告したのに続いて,同mannoおよびgalactopyranosideについても検討した。その結果,mannopyranosideにはglucopyranosideと同様の阻害作用が見られるが,galactopyranosideには阻害作用がなく,この阻害剤のヘキソ-ス部分が作用発現に重要であることを見出した。 2.膵B細胞をアロキサンで処理すると,その後のグルコ-ス刺激に対してインスリン分泌が見られなくなるが,アロキサン処理の際pーnitrophenylーDーglucopyranosideのαアノマ-を共存させると,膵B細胞はアロキサン毒性から保護されることを見出した。βアノマ-の保護作用は弱かった。 3.非代謝性人工甘味物質であるacesulfame Kにはインスリン分泌刺激作用があることで注目されるが,新らたに合成したacesulfame Naには単独では分泌刺激作用はなく,刺激作用は主としてK^+によるものであることを明らかにした。しかしcAMPを上昇させるforskolinの存在下ではacesulfame Naにもインスリン分泌刺激作用が見られ,acesulfame分子自体にも何らかの分泌刺激形成作用があることが示唆された。 以上の諸結果は,膵B細胞と甘味受容細胞の糖認識機構の共通性を示し,既成の概念では説明できない現象であるので,今後検討を続ける。
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[Publications] 仁木 厚,仁木 初美: "インスリン分泌の生理と病態ーグルコ-ス認識機構を中心としてー" Diabetes Frontier. 1. 457-473 (1990)
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[Publications] 仁木 厚,仁木 初美,橋岡 俊樹: "膵B細胞と味覚細胞のグルコ-ス認識機構の比較ー特異的味覚阻害剤を用いての検討ー" Peptide Hormones in Pancreas. 10. 37-40 (1990)
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[Publications] 仁木 厚,仁木 初美: "膵B細胞のグルコ-ス認識機構ー代謝説とレセプタ-説" 糖尿病記録号1990. 103-107 (1990)
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[Publications] 仁木 厚,仁木 初美,橋岡 俊樹: "細胞の糖認識機構ー甘味覚細胞と膵B細胞の共通性" 日本臨床代謝学会記録. 27. (1991)
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[Publications] 仁木 厚,仁木 初美: "膵B細胞における糖の認識機構" 医学のあゆみ. 156. (1991)
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[Publications] Atsushi Niki,Hatsumi Niki and Toshiki Hashioka: "Recent Advances in Insulin Therapy.(ICS 867)(Lee,T.H.,Huh,K.B.and Baba,S.eds)" Excerpta Medica,Amsterdam, 399 (1990)