Research Abstract |
1.Second messengerの役割 HL60細胞の分化の機序の解明の為,カルシウム指示薬Furaー2AMを用いて,分化誘導後の細胞内カルシウムイオン濃度(〔Ca^<2+>〕i)を,1分以内の短時間の系と,24,48,72時間の経時的変化を長時間の系にて観察した。HL60細胞を1α,25(OH)_2D_3,フォルボ-ルエステル(TPA)及び1α,25(OH)_2D_3の新しい誘導体であるoxaー1α,25(OH)_2D_3(oxa体)により単球系に分化誘導させると,短時間の系,長時間の系共に〔Ca^<2+>〕iの著明な上昇が認められた。一方,HL60細胞を顆粒球系に分化誘導させるretinoic acid,dimethylsulfoxide(DNSO)ではいずれの系でも〔Ca^<2+>〕iの上昇は認められなかった。即ち,HL60細胞の単球系への分化に際して〔Ca^<2+>〕iの上昇の重要性が示唆された。〔Ca^<2+>〕iの上昇の機序の解明の為,EGTA,カルシウム拮抗剤(diltiazem,verapamil),Cーキナ-ゼ阻害剤(staurosporin)の存在下で1α,25(OH)_2D_3,TPAを作用させ〔Ca^<2+>〕iの変化を検索した。EGTA,カルシウム拮抗剤,Cーキナ-ゼ阻害剤のいずれによっても〔Ca^<2+>〕iの上昇が阻害された。この事は,1α,25(OH)_2D_3による〔Ca^<2+>〕iの上昇が,細胞外よりカルシウムチャンネルを介して流入するCa^<2+>に起因すると共に,Cーキナ-ゼにより制御されている事を示唆している。 2.核酸代謝学的解析 TPA処理及び非処理HL60細胞を固定後,エチジウムブロマイドで核内DNAを,dihydrothymine dehydrogenase(DHT DH)に対するモノクロ-ナル抗体を用いた間接蛍光抗体法により細胞質をそれぞれ染色し,Flow cytometry 2 colorーanalysis法を用いて,cell cycleの各phaseにおけるDHT DHの酵素蛋白量を比較定量した。その結果,G1期の細胞ではDHT DHの酵素蛋白量がS期に比し増大している事が示唆された。
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