1991 Fiscal Year Annual Research Report
高性能防寒用被服材料設計のための材料の伝熱機構の解析
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02808010
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
藤本 尊子 北海道教育大学, 教育学部・岩見沢分校, 助教授 (00115073)
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Keywords | Fiber Assembly / Heat Transfer rate / Air Permeability / Thermal Insulation / Thermal Conductance |
Research Abstract |
繊維集合体の通気特性を、繊維の体積分率0.01ー0.1の範囲において調べた。ウ-ル、ポリエステルスライバ-およびトップについて実験を行い、Kozeny式を用いて評価できる可能性を示した。また繊維は円筒形で通気孔が開いた構造になるため、低体積分率の繊維集合体では、構成繊維の表面積当りの粘性抵抗が増加することが知らているが、本研究では等間隔格子状の配列モデルを仮定して、この効果を表わす評価式を導き、実験結果と比較した。さらに、空気層ー繊維集合体の系の熱輸送率を測定し、通気性の熱輸送に及ぼす影響について考察した。これらの研究において、繊維集合体の詳細な通気性評価法を提案するとともに、通気の効果と熱輸送効果の関係を明確にした。次に、実用上の保温性評価を考慮し、毛糸類セ-タ-地を用いた熱移動および通気のシミュレ-ション実験を行い、本研究課題の本年度の目標達成をみた。セ-タ-地は、その構造的特徴から、保温、通気性双方から性能を捉えることが重要であると考え、素材、構成糸太さ、編密度の違いを加味した手編セ-タ-地について、保温性および通気性を調べ、その構造的要因が及ぼす影響を調べた。その結果、熱物性については、編密度が近似している場合、熱コンダクタンスは厚さの増加に伴って減少すること、同一糸からなる編地では繊維の体積分率が大きいほど熱コンダクタンスは大きいことなどが確かめられ、また厚さー熱伝導率の関係直線が明らかにされた。通気性については、繊維集合体の通気性を表わす半理論式を本実験の結果に適用して、セ-タ-地の体積分率と通気性の関係を数量的に明確にした。その上で、代表的な織布の通気性と比較し、通気の機構に及ぼす組織の効果について考察した。さらに、材料下に空気層のある場合の熱輸送率に及ぼす空気の流動、通気に伴う影響を考察することができた。
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