1992 Fiscal Year Annual Research Report
言語習得過程についての人間関係学的研究(言語・発達臨床論)
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02808017
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
佐々 加代子 白梅学園短期大学, 保育科, 教授 (20113285)
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Keywords | 言語習得 / コミュニケーション過程 / 発達促進と阻害 / 読みとり能力 / 即応力 / コミュニケーション過程のそご / 関係改善の修正力 / 保育者の役割大 |
Research Abstract |
3年めの今年度は、コミュニケーション過程について「感じること,思うこと」をおさえた上で、両者の間柄が育まれていく過程を詳細にみていくことにした。発達初期からの人間関係が言語習得に及ぼす影響について及びコミュニケーションにおいてことばが生きるメカニズムの解明の検討とした。 コミュニケーション過程を子どもの側からみた交信過程と保育者側からみた交信過程について分けて論じた。前者を新生児期から母子関係成立段階を一段階ごとの内容と初語、一語文〜文章へとその内容が複雑になる頃までを見通した。乳幼児自身の生物学的な特性との関連はあるものの母親に象徴される人間関係の内容が言語発達促進と阻害に関与する。後者で発達促進阻害に関連する保育者のかかわり方の質についての検討をした。乳幼児の未熟なさまざまな信号行動系の読みとり能力と即応性交信結果からの修正力が重要であることがわかった。 保育者側が子どもとの交信でよくみて考えて対応することで大半の場合は循環していくが、保育者自身が気づかないまま両者の間柄にそごが起こっていることがある。関係は停滞或いは阻害され、乳幼児の発達遅滞や保育者のノイローゼも生む。歪みやズレは保育者側の思いこみによることが多い。子どもの細やかな信号行動系を読みとり、意味づけしながら細やかに対応していくことと、マイナスの意味の信号行動系発信に対してはくり返し修正することで関係の改善が可能となる。 発達は、今という一瞬一瞬のコミュニケーション過程の積み重ねによってその成りたちが決まってくる。いつもよい受けとめ方をしてくれる人々との間柄を重ねていく子どもは言語発達も促進され早期に獲得する。保育者としていかに質的に高い内容の交信ができるかが子ども自身の成長に関連する。関係改善はいつでも可能であることもわかった。
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Research Products
(1 results)