Research Abstract |
GHQ文書のうち,CIE,PHW関連文書の中から「学校給食法」「学校保健法」に関連する会議メモの検索を重点に考えていたが,検索リストの整理の不十分さもあり,求めるべき文書の入手にま至らなかった。しかし,CIE,PHWともに,マイクロフィッシュ検索回の基本リストを「学校保健」に関連するものについて作成することができ,ショッピング・リストとの照合のうえで,検索も対象をしぼって行ないやすくなった。この作業のうえに立って,関連文書一覧の作成を行ないつつある段階であり,一部ではあるが,「予防医学」,「学校給食」,「保健教育」,「公衆衛生組織」等の文書の整理が進んできている。 こうした中で,学校保健を確立していく際の背景あるいは関連するものとしてある保健医療行政の側面から検証を加えることができた。 とくに,戦後改革初期段階で,学校における保健・衛生の充実を図る時に重要な観点であった「保健所」の役割に焦点を当てて検証することができた。それは,「保健所法」の改正にみられるように,太平洋戦争期に「国策遂行」の第一線機関としての保健所網の整備が,戦後の再編の中で,そのもつ意義,機能も変化してくるのであるが,そうした「性格」の変化そのものが,根本的には,学校保健確立の理念に通づるものがあるようである。 戦前・戦中・戦後という流れの中で,公衆衛生機構がどのように変遷し,その中で保健所がどのように整備,発展していくのかについて,学校保健との関わりで概観することができた。その一つの成果として,「戦後改革と保健所機構の確立ーGHQ/SCAPの役割を中心に,学校保健確立の背景の問題としてー」(立命館教育科学研究,第2号)を著すことができた。
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