1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02808045
|
Research Institution | Kagawa Univesity |
Principal Investigator |
稲田 道彦 香川大学, 教育学部, 助教授 (70133155)
|
Keywords | 墓 / 墓地 / 両墓制 / 埋め墓 / 詣り墓 / 地域共同体 |
Research Abstract |
研究の取りまとめの年にあたる本年は香川県西部の三豊郡詑間町・仁尾町とその近辺の町を中心に、最近の両墓制墓地の崩壊過程を調査研究した。土葬によっていた両墓制墓地は火葬の導入により墓地制度の変更がうながされ、特に埋葬地の埋め墓は多様な形態を示している。こういう墓地制度の変化は葬儀などの儀式にも変化を及ぼし、ひいては人々の宗教的な考え方にまで変更のきっかけを与えていることがわかった。さらに人々の生活スタイルの近代化や合理的思考などという現代人のライフスタイルもこれらの地域の墓地空間の変化に大きく影響を与えていることが聞き取り調査で明らかになった。これらの地域の墓地の変化と比較するために、島根県島根町、京都市などの両墓制墓地の変化の状況を調査した。埋葬地の上に設置される墓は集落ごとにその形式が違うなど、一定地域では非常に多様な形態となっている。しかし全国的なレベルでは同じ形式が各地に点在していることから、文化としては過去に共通のオリジンを持つ制度であることが推測できる。現代の都市の墓地の変化を調べるために数都市で墓地を調査した。また両墓制墓地がいつ頃から成立したかという観点から、研究補助員の補助をうけて、この地域で古くから存続する詑間町須田の詣り墓の石塔に書かれている全部の墓誌の調査をした。江戸時代中期から末期にかけて墓石が建立されていることがわかった。詳細な報告は後日行う予定である。 12月に人文地理学会事務局で開かれた特別例会で『両墓制墓地の変容ー香川県西部に事例を中心にー』という発表をおこなった。この発表は今回の科学研究費による研究の成果の一つである。簡単な報告はすでに送付したが、このテ-マで現在研究論文を報筆中で、近い内に発表の予定である。
|
Research Products
(2 results)