1990 Fiscal Year Annual Research Report
動物培養細胞における機械刺激の細胞内情報への伝達機構
Project/Area Number |
02808050
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大野 宏毅 産業医科大学, 医学部, 教授 (30049085)
|
Keywords | 画像解析 / 情報伝達 / 蛍光顕微鏡 / 細胞内カルシウムイオン / 機械刺激受容 |
Research Abstract |
[経過と目的] 申請者は、細胞内Ca^<++>指示薬Furaー2で染色した培養細胞を蛍光顕微鏡の画像として捉え、種々の薬物を投与して細胞応答を記録する一連の実験の過程で、機械刺激(液流)に応答して細胞内Ca^<++>濃度が一過的に上昇する現象を観察した。この現象は、細胞膜の機械受容イオンチャネルの開口による細胞外からのCa^<++>流入だけで説明することは難しい。むしろ、機械的刺激を引金とする細胞内Ca^<++>ストアからのCa^<++>動員を想定したほうが観察事実を説明する。 本実験の目的は、機械的刺激の受容から細胞内Ca^<++>濃度上昇に至る細胞内情報伝達の様式を、蛍光色素による細胞内Ca^<++>濃度など細胞内情報の画象化とその追跡を主な実験手段として明かにすることである。 [設備製作の進展状況] 温度制御機能を装備した、[流動下細胞顕微観察装置]が完成した。蛍光顕微鏡の視野下に捉えた培養細胞を水流下に置き、細胞内カルシウムイオン濃度、細胞内pH、細胞内ナトリウムイオン濃度などを1秒程度の時間分解で追跡可能となった。 [機械刺激受容応答の新しい知見] 機械刺激(水流)に対する培養細胞の応答の大きさ(細胞内カルシウムイオン濃度の上昇の程度)が、ある実験では非常に顕著に現れるが、また別の実験では極めて小さいということが観察された。溶液の条件や温度などはほぼ一定に保ってあるので、実験ごとの再現性の乏しさはこれらに帰することは難しい。現在までの細胞培養の方法では、種々の成長ステ-ジの細胞が混在しており、細胞成長は同調していない。おそらく、実験ごとのばらつきは細胞周期のステ-ジの違いによるのであろう。今年度は、細胞を同調培養し、細胞周期と機械応答の関連に着目して実験する予定である。
|