1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02808055
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 陽一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40012504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 秀人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (40217724)
高橋 雄造 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60055225)
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Keywords | 博物館 / 理工系 / 資料 / 博物館学 / 大学 / 実験装置 / 産業史 / 大学史 |
Research Abstract |
基本的な作業としては、全国の主要大学の理工系学部に対して、資料館の有否、その必要性の有否、〓ましい形態、管理方法、利用方法、間題点などに関するアンケ-ト調査を実施した。 アンケ-ト調査の実施自体、問題の性格上、危惧される側面もあったが、質問項目の設定などにかなり時間をかけて練り上げた成果もあって、予想以上の回答率を得た。最終的な回答率は、締切期限をはるかに過ぎた今日でさえなお、時に回答が届くというような状況のなかで、正確な数字にはならないが、70パ-セントを越えることは確実であり、こうした調査としては、異例とも言えるものであった。 そのことは、現在理工系の学部学科において、単に過去の資料の貯蔵というだけでなく、現在の教育制度の一環として、資料館もしくは博物館を位置付け、かつ、そこに期待する役割が大きいことを物語っていると考えられる。 実際、理工系に要求され、期待されている資料館は、一般の博物館と異なり、最も先端的な科学技術を、十分な教育効果の下で、学生たちに習得させるような機能を備えているべきである、という見解が目立ったことに我々は注目している。それは、専門領域が益々細分化され、学部でも大学院でも、専門領域の知識と技術との習得に手一杯になっている理工学教育の現状に鐺み、資料館という場において、他領域に関する基礎から先端までのあらましを、実地に見開し接近できるようにしたいという意志として理解できる。 こうして、我々の課題は、単に資料館についての議論を超えて、大学における理工学教育の理想と現実という、極めて今日的な問題に踏み込まざるを得ないことを確認しつつある。
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