2002 Fiscal Year Annual Research Report
多連続不斉中心を有する鎖状系有機分子の立体特異的合成法の開発と天然物合成への応用
Project/Area Number |
02F00132
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHANMUGAM PONNUSAMY 北海道大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | エポキシド / 炭素求核剤 / 置換反応 / 立体選択的 / トリアルキルアルミニウム / トリアルキルシリルトリフラート / 有機合成 / 天然物合成 |
Research Abstract |
炭素求核剤を用いるエポキシド類の位置および立体選択的置換反応の開発は有機合成や天然物合成において極めて重要である。その有力な合成手法の一つとして,有機アルミニウム試薬を用いる方法が知られているが,従来これらの手法はエポキシアルコールやエポキシスルフィドなど特殊な基質に限られており,通常のエポキシドはトリアルキルアルミニウムと反応しないことが知られている。 このような背景のもと,トリアルキルアルミニウムとトリアルキルシリルトリフラートを組み合わせると,種々のエポキシド類が低温下で速やかに反応し,アルキル化されたアルコールのシリルエーテル体が位置および立体選択的かつ高収率で得られることを見出した。本法は,有機アルミニウム試薬によるエポキシド自身の求核置換反応を実現した最初の例である。また,これらの反応によりトランスエポキシドからはアンチ体が,またシスエポキシドからはシン体生成物がそれぞれ立体特異的に得られることから,本法の開発は有機合成や天然物合成において強力な合成手法を提供するものと期待される。現在,本反応の機構解明ならびに複雑な基質への応用展開を検討している。
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