2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00716
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
向山 光昭 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ONISHI J. Y. 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機リン化合物 / 付加脱離反応 / 炭素-炭素結合形成反応 / エノールホスフェート / ルイス酸 / アルキル銅試薬 |
Research Abstract |
リン元素の還元力を有効に利用する新しい炭素-炭素結合生成反応の開発を目指して研究を行った。具体的には、3価のリン化合物によって2-ハロ-1,3-ジカルボニル化合物を還元して3位に脱離性の官能基を持つ中間体を調製した後、引き続いてアルキル銅試薬を用いて付加脱離反応を行い、3位に新しいアルキル基を選択的に導入する新しいタイプの炭素-炭素結合形成反応の開発を行った。 すなわち、2-ブロモ-1,3-ジフェニルプロパン-1,3-ジオンに対するジメチルシアノ銅試薬を用いるメチル化反応をモデル反応として反応条件の検討を最初に行った。2-ハロ-1,3-ジカルボニル化合物から3位に脱離性の官能基を持つ中間体を生成させるため、3価のリン化合物としてトリエチルホスファイトを用いてPerkow反応によりエノールホスフェートを生成させた。生じたエノールホスフェートを単離することなく、引き続きジメチルシアノ銅試薬を用いて付加脱離反応の検討を行ったところ、ジメチルシアノ銅試薬のみでは反応は十分に進行せず、ルイス酸を加えると収率が向上することが分かった。様々なルイス酸を検討したところ、ボロントリフルオリドが最も良い結果を与え、1,3-ジフェニル-2-プロペンノンが高い収率(94%)で得られることが分かった。また、この反応の溶媒としてはエーテル系溶媒、その中でもテトラヒドロフランが最もよい溶媒であった。 さらに、ジメチルシアノ銅試薬以外のアルキル銅試薬として、ジブチルシアノ銅試薬やジフェニルシアノ銅試薬を用いてブチル化反応やフェニル化反応を試みたところ、いずれの場合も中程度の収率(50-60%)で目的とするエノン体が得られることが分かった。
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