2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成による磁性ナノドットの作製とスピン依存単一電子トンネルの研究
Project/Area Number |
02F00798
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ERNULT Franck 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | ナノ粒子 / 自己形成 / 超高真空蒸着 / 磁性 / トンネル効果 / スピン制御 / 単一電子トンネル効果 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
スピンエレクトロニクスに関する重要研究課題の一つとして、スピン制御単一電子デバイスの開発が挙げられる。これに関する基礎研究結果として、微小素子構造試料におけるナノ磁性粒子を介したトンネル効果において、トンネル磁気抵抗効果が観測され、さらにバイアス電圧による磁気抵抗効果の増大や振動という興味深い結果が既に得られている。しかし、これまでの研究では、ナノ磁性粒子のサイズや間隔が分布しているため、現象が平均化されやすいという問題があった。特に、このことは、室温での現象の観測が困難であることの原因となっている。本研究では、均一粒径のナノ磁性粒子を自己形成プロセスによって作製する技術に関して研究を行なった。特に、後に素子構造化することを考慮し、薄い絶縁体からなるトンネルバリア上に粒子を形成することを試みた。 初めに磁性金属電極上に平坦なトンネルバリアを形成することを行った。低エネルギー面を表面に出すことによって平坦表面が得られると考え、超高真空蒸着法によりMgO(100)面をFe(100)単結晶電極上に成長させた。反射高速電子線回折によるその場観察の結果、室温での成長において、結晶性と平坦性に優れた表面を得ることができた。この単結晶トンネルバリア上にFe等の金属を1nm以下成長させることで、ナノ磁性粒子を形成した。走査トンネル顕微鏡による評価の結果、適正膜厚は0.5nm程度であり、基板温度や物質を変えても1nmでは若干厚すぎであり、粒子同士の結合が生じることも分かった。走査トンネル顕微鏡による電流電圧特性をしらべた結果,ナノ粒子に特有のクーロンブロッケイドが観測され、電気的にも孤立した粒子が形成されていることが分かった。粒径については、特別に大きな粒子は観測されないが、粒径の均一化は現状ではなされていない。成長条件の検討やサーファクタントの利用によって均一化を図ることが今後の課題である。
|