2002 Fiscal Year Annual Research Report
パイロクロア型およびシーライト型構造を有する希土類複合酸化物の磁気的性質
Project/Area Number |
02J00498
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平 靖之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2) (40369939)
|
Keywords | パイロクロア / 希土類 / 酸化物 / 磁気的性質 / 電気的性質 / 中性子回折 / スピングラス / ルテニウム |
Research Abstract |
本研究では、希土類元素を含むパイロクロア型またシーライト型複合酸化物に注目して、それらを精密に合成し、その磁気的相互作用を結晶化学的に制御することにより、希土類元素のf電子と遷移金属元素のd電子との相関がおりなす新たな挙動の発見、その系統的理解を得ることを目的としている。 パイロクロア構造のAサイトを占める3価の希土類元素に、同じく3価の希土類元素であるランタンを置換固溶させたルテニウムパイロクロア型固溶体の新規合成を行った。特にイットリウムをランタンで置換した固溶体Y_<2-x>La_xRu_2O_7は、0【less than or equal】x【less than or equal】0.6の範囲で合成することが出来、全ての試料が半導体的電気伝導性を示すことを明らかにした。磁気測定を行ったところ、全ての試料が低温で"スピングラス"的な磁気転移を示し、その磁気転移温度はランタンイオンの含有量が増えるにつれて単調に減少することを見出した。 エルビウムを含むルテニウムパイロクロア型酸化物Er_2Ru_2O_7の磁気的性質を詳しく調べるために、磁気測定、比熱測定、粉末中性子回折測定を行った。磁化率・比熱の温度依存性を調べたところ、90K,10Kで磁気異常を示し、それぞれの異常はルテニウムイオンとエルビウムイオンの独立した二段階の磁気転移によるものであることを見出した。さらに、その磁気構造を調べるために粉末中性子回折測定を行い、Er_2Ru_2O_7の磁気転移温度以下での磁気構造を決定することが出来た。その磁気構造は、エルビウムのもつf電子とルテニウムのもつd電子との相互作用を強く反映した磁気構造であることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)