2003 Fiscal Year Annual Research Report
クライオ電子顕微鏡法によるセルロース合成酵素の立体構造解析
Project/Area Number |
02J01006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 友也 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース合成酵素 / キチン合成酵素 / (糖転移における)プライマー分子 / 電子顕微鏡 / 単粒子解析 / 膜タンパク二次元結晶 |
Research Abstract |
1 本研究課題の目的は、セルロース合成酵素の機能をその構造から明らかにすることにある。昨年度の研究実績として「セルロース合成酵素をはじめとするGT-2酵素は、分子鎖の非還元末端側への糖転移反応を触媒する」という結論を示したが、さらに考察と実験を進め、キチンの生合成におけるプライマー分子(最初の転移反応へ糖を的確に供するためにその糖に結合している分子)の存在を予測した。直接的な証拠を得るには至っていないが、セルロース生合成においてプライマー分子が存在することが示されていることから、今後詳しく調査するに値する考察である。本研究の昨年度の成果も含めたこれらのデータは、英文誌(Biochemical Journal)に掲載された。 2 電子顕微鏡による単粒子構造解析を目指して、酢酸菌からセルロース合成酵素の単離精製実験を行っている。同時に合成酵素の単離を生化学的に追跡するために、外注にてポリクロ抗体の作製を行い、これをチェックしている。既報の文献通りに生化学実験を行っているが、現在まで合成酵素の単離に成功していない。 3 二次元結晶化によるタンパク構造解析は、膜タンパクの構造解析として非常に有用であることが示されつつある。しかしX線結晶解析用の三次元結晶と対照的に、二次元結晶作製の方法論は確立されたものではない。将来的にセルロース合成酵素の高分解能解析のためには必須であろう二次元結晶解析を見据え、あるバクテリア由来の膜タンパク質を用いて二次元結晶化の方法論の確立を目指して実験を開始した。
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[Publications] T.Imai, T.Watanabe, T.Yui, J.Sugiyama: "The directionality of chitin biosynthesis - A revisit."Biochemical Journal. Vol.374,part3. 755-760 (2003)