2004 Fiscal Year Annual Research Report
クライオ電子顕微鏡法によるセルロース合成酵素の立体構造解析
Project/Area Number |
02J01006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 友也 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース合成酵素 / 多糖の高次構造 / 電子顕微鏡 / 単粒子解析 / 膜タンパク質 / タンパク二次元結晶 / 構造解析 |
Research Abstract |
1.本研究課題の目的は、セルロース合成酵素の機能をその構造から明らかにすることにある。電子顕微鏡による単粒子構造解析を目指して、酢酸菌からセルロース合成酵素の単離精製実験を既報に従い行ってきたが、成功していない。そこで異種発現系の構築を目指してセルロース合成酵素オペロンのクローニングを行うべく、プライマー設計まで行った。また合成酵素の単離を生化学的に追跡する手段がないため、ポリクロ抗体の作製を外注にて行っている。セルロース合成酵素(BcsA遺伝子産物)そのものに加えて、同一オペロンに存在するBcsC遺伝子産物の追跡を開始すべく、これに対する抗体も作製依頼中である。 2.セルロースも含めて多糖分子の合成酵素を考える際に、糖転移反応に関する酵素学的な視点は大きく取り上げられてきたが、ミクロフィブリルなどの高次構造を形成する機構の具体的な認識が乏しいという問題点を、多糖の合成例の比較から指摘した(第6回理研シンポジウム「高分子結晶の構造と機能」において発表)。 3.二次元結晶化によるタンパク構造解析は、膜タンパクの構造解析として非常に有用であることが示されつつある。しかしX線結晶解析用の三次元結晶と対照的に、二次元結晶作製の方法論は確立されたものではない。将来的にセルロース合成酵素の高分解能解析のためには必須であろう二次元結晶解析を見据え、あるバクテリア由来の膜タンパク質を用いて二次元結晶化の方法論の確立を目指して実験を開始した。現在まで、脂質二重層内に再構成された構造物をコンスタントに得られるようになったが、まだ結晶性が弱く解析に値するものは得られていない。それでも精製・結晶化の間に静電作用を抑える戦略が重要であることが分かりつつある。
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