Research Abstract |
ネパールの5つの地域で夏と冬の室内と半戸外における熱的主観申告調査と温熱環境調査を行い,以下のことを明らかにした。対象とした地域は亜熱帯のBanke(S_A),温帯のBhaktapur(T_B),Dhading(T_C),Kaski(T_D)と冷帯のSolukhumbu郡(C_E)である。 1)室内と半戸外における昼間の温冷感申告の「中立」,快適感申告の「快適」,適温感申告の「このままで良い」の出現頻度が地域S_Aの夏を除くと,夏冬とも高く,居住者は温熱環境への溝足度は高いといえる。 2)Griffiths法で求めたネパール各地域の中立温度は,夏の室内では亜熱帯S_Aで30.0℃,温帯で23.4(T_D)〜29.1℃(T_C),冷帯C_Eで21.1℃(C_E)であり,冬の室内では亜熱帯S_Aで16.2℃,温帯で15.2(T_B)〜24.2℃(T_C),冷帯C_Eで13.4℃(C_E)である。夏の半戸外では亜熱帯S_Aで31.7℃,温帯で24.3℃(T_C),23.8℃(T_D)で参り,冬の半戸外では亜熱帯S_Aで19.9℃,温帯で19.1℃(T_C),20.3℃(T_D)である。冬のT_C(室内のみ)とT_Dを除くと,中立温度は亜熱帯,温帯,冷帯の順に高いことが示された。中立温度は室内で夏8.9K,冬2.8K,半戸外で夏7.9K,冬1.2Kの地域差がある。 3)中立温度の季節差は室内では亜熱帯S_Aで13.8K,温帯で4.9(T_C)〜10.4K(T_B),冷帯C_Eで7.7K,半戸外では亜熱帯S_Aで11.8K,温帯で5.2K(T_C),3.5K(T_D)である。この差のうち約1.5(T_D)〜6K(C_E)は着衣量と風速(温帯T_Dのみ)による季節差であり,残りは居住者の適応による差と考えられる。 4)半戸外の中立温度は亜熱帯S_Aと温帯T_Dでは,夏と冬で0.4〜3.7K室内より高く,温帯T_Cでは夏4.8K,冬5.1K半戸外で室内より低い。半戸外や薪を燃やす室で中立温度が高いことを示している。
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