2002 Fiscal Year Annual Research Report
側底膜型ペプチドトランスポータの遺伝子クローニングと薬物動態制御における役割解明
Project/Area Number |
02J01796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 めぐみ 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 消化管吸収 / ペプチドトランスポータ / 側底膜 / クローニング / 経細胞輸送 |
Research Abstract |
小腸上皮細胞の側底膜には、刷子縁膜に局在するペプチドトランスポータ(PEPT1)とは機能的に異なるペプチドトランスポータが発現し、PEPT1とともにジ・トリペプチドや様々な薬物の消化管吸収を媒介している。本研究では、側底膜型ペプチドトランスポータの遺伝子クローニングと、薬物動態制御における役割を解明することを目的として、ヒト培養腸上皮細胞Caco-2よりcDNAライブラリーの作製を試みた。さらに、両ペプチドトランスポータを介した基質の経細胞輸送について精査した。 Caco-2細胞よりmRNAを精製し、サイズ分画を行った後、卵母細胞発現系用いてグリシルザルコシン(Gly-Sar)の取り込み活性を評価したところ、3つのmRNA画分において顕著な活性が認められた。また、Gly-Sar取り込みのpH依存性、並びに阻害剤感受性の検討から、観察された取り込み活性は、PEPT1及び側底膜型ペプチドトランスポータによる活性の総和であることが判明した。そこで、側底膜型ペプチドトランスポータを最も多く含むと考えられるmRNA画分を選択し、cDNAライブラリーを作製した。現在、ライブラリーのスクリーニングを進めている。 Caco-2細胞を介したGly-Sarの経細胞輸送について速度論的解析を行ったところ、頂側膜を介した取り込みクリアランスは排出クリアランスよりも顕著に大きかったが、側底膜を介した両クリアランスは同程度であることが判明した。従って、側底膜型ペプチドトランスポータはPEPT1とは異なり、濃度勾配に従った輸送を示す促進拡散型のトランスポータであると考えられた。さらに、管腔側から細胞内への取り込みクリアランスよりも細胞内から血管側への排出クリアランスの方が小さかったことから、β-ラクタム抗生物質などの消化管吸収においては、側底膜を介した輸送が律速段階になることが示唆された。
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