2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA配列特異的ミスマッチ認識能を有する人工マルチ亜鉛フィンガー蛋白質のデザイン
Project/Area Number |
02J02027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 渉 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 亜鉛フィンガー蛋白質 / リンカー配列 / Sp1 / マルチ亜鉛フィンガー |
Research Abstract |
研究計画に沿いぐ亜鉛フィンガー蛋白質のドメイン間をつなぐリンカー配列におけるDNA結合への寄与に関する研究を進めてきた。典型的な亜鉛フィンガー蛋白質ではアミノ酸配列TGEKPが高度に保存されている。いくつもの亜鉛フィンガードメインを含む天然のマルチ亜鉛フィンガー蛋白質においては、このTGEKPリンカーの保存度があまり高くない。従って、長鎖DNA配列の認識において重要となるマルチ亜鉛フィンガー蛋白質の創製においてTGEKPリンカーを用いることが有効な手段となりうるかを明らかにする必要がある。そこでTGEKPリンカーで各ドメインをつないだ15亜鉛フィンガー蛋白質を新規に作製しそのDNA結合を検討した。結果として、15亜鉛フィンガー蛋白質は15個すべてのフィンガーを用いてDNAの主溝にはまり込み約50塩基対の配列に結合することが明らかになった。このことは長鎖DNA認識を行う蛋白質の創製に有用な情報を提供すると考えられる。また、認識ドメインとリンカー配列の関係を明らかにするために通常3塩基を認識するフィンガードメインを2塩基のみ認識するタイプに変換した亜鉛フィンガー蛋白質をデザインし、そのDNA結合を検討した。亜鉛フィンガードメインの認識ヘリックスの-1番のアミノ酸をアラニンに置換した場合に2塩基による認識が可能であることが示された。この場合、隣接する亜鉛フィンガードメインの距離的関係を最適に保つためにリンカー配列の長さ、種類を検討する必要がある。典型的なTGEKPリンカーを伸長した場合を検討したが、結合親和性の低下がみられ、この場合においてはリンカー配列の伸長は有効な手段ではないことが示された。2塩基認識ドメインを含む亜鉛フィンガー蛋白質におけるリンカー配列が最適化されれば亜鉛フィンガーによるDNA認識パターンの拡張も期待され、今後の検討が必要であると考えられる。
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