2003 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ細胞及び神経細胞での膜脂質シグナリング制御遺伝子による分子治療の開発
Project/Area Number |
02J02513
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
澤田 元史 岐阜大学, 日本学術振興会, 特別研究員(PD)
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Keywords | p53 / セラミド / 活性酸素種 / グリオーマ / カスパーゼ / スフィンゴミエリナーゼ / ミトコンドリア / アポトーシス |
Research Abstract |
細胞膜脂質代謝産物であるセラミド産生経路には、中性スフィンゴミエリナーゼ(N-SMase)活性による経路と酸性スフィンゴミエリナーゼ(A-SMase)活性による経路に大別されるが、申請者らがこれまでに報告してきたグリオーマ細胞の抗癌剤によるアポトーシス及び神経系細胞の低酸素刺激によるアポトーシスは、いずれもp53依存性のROS産生を介したN-SMaseの活性化による経路のみから産生されるセラミドの関与であった。そこで我々は今回、同時にN-SMaseとA-SMaseの両者を活性化するTNF-αによるアポトーシスでのセラミド産生経路を解析することで、それまで不明であったp53、ROS、セラミドの相関関係を解明した。結果としては、TNF-αによるグリオーマ細胞でのアポトーシス誘導ではp53依存性のROS産生を介するN-SMase活性とp53非依存性のROSを介さないA-SMase活性による2種類の活性経路によるセラミド産生が混在し、いずれのSMaseの活性化もcaspase-8によって制御されること、またいずれの経路から産生されたセラミドはミトコンドリアを障害しチトクロームcの逸脱を介するIntrinsic pathwayを準行していくことが判明した。この研究結果を通じてそれまで不明であったp53、ROS、セラミドの相関関係がより明確となり、Cell Death and Differentiationの国際誌にin pressとなった。
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