2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度磁気記録用軟磁性薄膜の電気化学的作製とナノ構造制御による高機能発現
Project/Area Number |
02J03198
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中西 卓也 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電気化学 / 微細構造 / 磁気特性 / ナノ粒子 / 添加剤 / 薄膜 |
Research Abstract |
液相からの磁性ナノ粒子新規調製法確立の試みでは、金ナノ粒子の調製に用いられる液液二相系(two-phase liquid-liquid system)の遷移金属への適用を新たに図り、鉄ナノ粒子の調製に成功した。この成功により、磁気記録分野において注目される鉄-白金合金およびコバルト-鉄合金を対象とした新規ナノ粒子調製法としての展望が開けた。また、初年度に開発した、逆ミセル中での還元-酸化反応によるγ-酸化鉄ナノ粒子調製法においては、還元剤種による差異を比較するなど基礎学術面での検討を推進した。いずれの成果も10月の国際会議で発表し、プロシーディングス2報が受理された。 また一方で、めっき浴中に含まれる添加剤(有機分子)の析出表面(固液界面)での挙動がめっき膜に及ぼす影響について、エレクトロニクス実装分野でのニーズも高い銅めっきを対象とした検討を行い、微細なトレンチ(配線溝)部への析出・埋込み特性に加え、薄膜の室温再結晶現象とその膜特性への影響について知見を深めた。前者に関する論文はJournal of The Electrochemical Society誌に採択された(平成17年4月掲載予定)。 さらに、所属機関で開発された高飽和磁束密度コバルト-鉄合金めっき薄膜について、めっき時の電気化学的パラメータを制御するパルスめっき法を適用し、直流めっき法によって成膜したものと比較して低保磁力化が実現し、この要因として格子歪の緩和が示唆された。さらに、パルスめっき膜の場合、熱処理が及ぼす磁気特性への影響に関しても、直流めっき膜よりも低温処理での低保磁力化および同一処理温度での一層の低保磁力化が見いだされた。これらはいずれも磁気記録書込みヘッド材料としての実用化を図る上で要求される点であり、電気化学的なナノ構造制御による特性改善を実現した。
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