2002 Fiscal Year Annual Research Report
セミインタクト細胞を用いたオルガネラの形態形成とそのダイナミクスの分子機構の解明
Project/Area Number |
02J03970
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
加納 ふみ 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | セミインタクト細胞 / GFP / 小胞体 / 細胞周期 / オルガネラ / 可視化 / 細胞生物学 / 再構成 |
Research Abstract |
哺乳動物細胞の小胞体(endoplasmic reticulum, ER)は、間期では細胞中に広がった連続した網目構造を構築している。この細胞内でつながって一つに連続している小胞体が細胞分裂期にどのような機構で娘細胞へと分配されるかを、小胞体の可視化とその動態追跡により明らかにした。まず、小胞体に局在するシャペロンであるHSP47とGFPの融合タンパク質を恒常的に発現するCHO細胞株(CHO-HSP)を樹立し、小胞体を可視化した。共焦点レーザー顕微鏡観察やFLIP(fluorescence loss in photobleaching)法といった分光学的手法を用いた実験より、小胞体は細胞分裂時でも連続であること、しかしERチューブが部分的に切断されることによりそのダイナミクスが間期のときに比べて増大していることなどがわかった。そこで形質膜を透過性にしたセミインタクト細胞系を用いて、ERに特異的な網目構造を変化させる因子を生化学的に探索する系を確立した。セミインタクト細胞は連鎖球菌毒素ストレプトリシンOをCHO-HSP細胞に作用させ、形質膜に直径約30nmの穴をあけることにより調製した。セミインタクトCHO-HSP細胞にL5178Y細胞により調製した間期/M期細胞質をATP再生系とともに添加した後、ERの形態学的変化を光学顕微鏡観察し、three-way junction assayによる定量化(ある一定範囲内のERの三つ又構造の数をカウントする方法)を行った。その結果、1間期細胞質ではATP/GTPの加水分解依存的にERの構造が保たれていること、2微小管がノコダゾール処理により破壊されているときに限り、M期細胞質によってERの網目構造が破壊されることなどを明らかにすることができた。今後はM期細胞質中にあるER網目構造を破壊する因子を生化学的に求める予定である。
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[Publications] Uchiyama, K.: "VCIP135, a novel essential factor for p97/p47-mediated membrane fusion, is required for Golgi and ER assembly in vivo"Journal of Cell Biology. 159・5. 855-866 (2002)
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[Publications] Tanaka, AR.: "Effects of Mutations of ABCA1 in the First Extracellular Domain on Subcellular Trafficking and ATP binding/hydrolysis"Journal of Biological Chemistry. 278・10. 8815-8819 (2003)
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[Publications] 加納ふみ: "細胞内小胞輸送ネットワークの可視化解析"実験医学. 20・7. 961-967 (2002)