2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J04359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
頴原 善徳 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際法と国内法 / 立作太郎 / 美濃部達吉 / 国際連盟 / 横田喜三郎 / 神川彦松 / 大東亜国際法 |
Research Abstract |
本年度は、研究論文を一本雑誌に公表したほか、研究会での口頭報告を一本おこなった。前者は、戦前日本における国際法と国内法の関係をめぐる議論について分析したもので、前年度からの研究をまとめたものである。戦前の帝国憲法においては、条約締結権は天皇大権の一つとされていた。政府は慣行上、国内法に関係する条約であっても、直接国内的効力を有するものとし、立法権への協賛が帝国憲法に規定されている議会が条約の締結に関与することは、認められていなかった。しかしながら、条約をはじめとする国際法と国内法との間に抵触が生じた場合、どちらが優越するかについては、見解がわかれていた。その結果、重要な論争が発生したが、それは単に国際法と国内法の関係のみならず、国際社会と国家主権との関係をも問うものであった。今回発表した論文では、政府の実行ではなく、戦前日本の代表的な国際法学者と憲法学者との論争を分析し、なぜこのような論争が展開されなくてはならなかったのかを論じた。後者の口頭報告は、第一次世界大戦後の国際連盟中心主義がなぜ大東亜国際法へ変化したのかを考察することによって、第二次世界大戦後の国際連合中心主義の性格を考えるための基礎作業を試みたものである。第二次世界大戦後の日本では、国際連合中心主義というべき主張が説かれつづけており、現在そのような主張に対する批判がなされている。しかし、そもそもなぜ戦後の日本では国際連合中心主義が、多くの論者によって説かれたのかを問題にした研究はない。そこで、戦前にさかのぼって考察したのが、今回の報告である。近い将来、論文化する予定である。
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Research Products
(1 results)