2002 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質一次視覚野の刺激文脈依存的活動調節とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
02J04388
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾関 宏文 大阪大学, 健康体育部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大脳皮質一次視覚野 / 刺激文脈依存性 / 視野統合 / 刺激特徴選択性 / 機能構築 / 皮質水平結合 |
Research Abstract |
われわれは、まとまりをもった部分を図として周囲から区別しそれ以外の部分を地として知覚している。このような図地分化の処理過程について、大脳皮質一次視覚野(V1)が担っている仕組みを明らかにするため以下の実験を行った。 1.麻酔非動化したネコのV1において、正弦波状に輝度変化する縞刺激を呈示したときの単一細胞活動を記録した。受容野刺激に対する応答が、受容野周囲に類似したパラメータの縞刺激を呈示することにより抑制されることが分かっている。そのメカニズムを明らかにすべく、抑制性神経伝達物質GABAの関与の可能性を検討してきた。その結果、GABA_A受容体拮抗薬ビククリンを記録細胞付近にイオン泳動投与しても抑制性の活動修飾は減弱しなかった。これは、V1細胞の受容野外刺激による活動抑制が主として皮質内抑制によるものでなく、1)外側膝状体からV1への入力が広域視野刺激により減弱し、さらに、2)V1内の機能的ネットワークの活動性のあり方を反映して皮質内興奮の増強メカニズムの活動低下が起きていることが示唆された。本研究成果については、海外一流誌に投稿中である。 2.同じくネコV1において、同様の視覚刺激に対する複数の細胞活動を同時記録し、相互相関解析法を用いて細胞問の同時発火率を解析する実験をはじめた、刺激の大きさ、方位、運動方向を変化させたときのスパイク発火の時系列を記録し、有意な活動相関が観察された細胞対について相互相関ヒストグラムの発火率のピーク強度を解析した。その結果、刺激パラメータによってピーク強度が変わること、また、細胞ごとの各パラメータに対する選択性に依存して変化することが観察された。今後はさらなる細胞対について記録を行い、受容野外刺激による反応抑制の強度との関係についてポピュレーション解析を行い、皮質内ネットワークによる広域情報統合のあり方を明らかにしていく必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akasaki, T. et al.: "Suppressive effects of receptive field surround on neuronal activity in the cat primary visual cortex"Neuroscience Research. 43. 207-220 (2002)
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[Publications] Ozeki, H. et al.: "The Neural Basis of Early Vision (ed. Kaneko, A.)"Springer-Verlag (Tokyo)(in press). (2003)