2002 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体薄膜ゲートFET型不揮発性メモリの保持特性改善の研究
Project/Area Number |
02J04863
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 光恵 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科・学術振興会特別研究員(DC2)
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Keywords | 強誘電体 / 半導体 / 不揮発性メモリ / メモリ保持特性 / ゲートFET型メモリ / SBT / PLD / MOD |
Research Abstract |
次世代ULSIの情報処理素子として期待される強誘電体ゲートFETメモリにおいてメモリ保持特性の短いことが問題となっており、この要因を明らかにして保持時間を長くすることが求められている。そこで、金属-強誘電体-絶縁体-半導体(MFIS)構造において外部電荷注入モデルを用いて、強誘電体層および絶縁体層を流れる定常的リーク電流密度がMFIS構造の静電容量保持特性に与える影響を定量的に解析した。 その結果、強誘電体層および絶縁体層を流れるリーク電流密度がある値以上になると急激に保持特性が劣化することを示した。MFIS構造の静電容量保持特性を改善する方法として上部金属電極-強誘電体層間への絶縁体層の挿入あるいは熱処理による強誘電体薄膜の膜質改善により強誘電体層を流れる電流を減らすこと、および絶縁体層に高誘電体材料を適用することが有効であることを理論的に示した。この予見に基づき、実験的に、レーザーアブレーション(PLD)法で製膜されたSrBi2Ta2O9(SBT)薄膜が酸素アニール処理によりリーク電流の減少および分極保持特性の改善を示すことを確かめ、また、同膜を用いたMFIS構造のメモリ保持特性が酸素アニール処理により改善することを確かめた。 この酸素アニール処理のPLD-SBT薄膜に対する効果を、紫外線光電子分光装置(UV-PYS)とX線光電子分光(XPS)とを用いて調べた。比較のため、有機金属気相成長(MOCVD)法および有機金属分解(MOD)法によって製膜されたSBT薄膜についても同様に調べた。UV-PYSにより、PLD-SBT薄膜のFermiレベルが酸素アニールによって増加し、酸素アニール後のPLD-SBT薄膜はMOCVD-, MOD-SBT薄膜とほぼ同様のFermiレベル5.5-5.6eVを持つことを示した。XPSを用いて、PLD-SBT薄膜中のBi3+がMOCVD-, MOD-SBT薄膜中のBi3+よりもAr+スパッタによって還元されやすいことを示した。これらの結果から、酸素アニールはPLD-SBT薄膜表面の正孔に対する障壁の高さを増加し、その結果ホール伝導の寄与によるリーク電流を低減する効果があると考察した。Bi過剰MOD-SBT薄膜に対する高圧酸素アニールの効果も同様の手法で調べたところ、高圧アニール後、XPSを用いて強誘電体SBTの占める割合の多い膜ほどAr+スパッタによって還元されやすい傾向を示し、UV-PYSによりパイロクロアSBTの占める割合の多い膜ほどFermiレベルが減少する傾向を示した。特に、最もパイロクロアSBTの多い膜では高圧酸素アニールによってBixOyが生成される可能性を示した。パイロクロアSBTの占める割合の多い膜ほど高圧酸素アニールによって分極特性の測定が可能になる程度にリーク電流が低減する傾向も見られた。これらの結果から、高圧酸素アニールはBi過剰MOD-SBT薄膜中に含まれる格子形成に寄与しない余剰Biを酸化することによってリーク電流を低減する効果がある可能性を考察した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Takahashi, K.Kodama, T.Watanabe, H.Funakubo, M.Noda, M.Okuyama: "X-ray Photoelectron and UV Photoyield Spectroscopic Studies on Sr_xBi_yTa_2O_9 Films"Journal of the Korean Physical Society. (発表予定). (2003)
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[Publications] M.Takahasi, K.Kodama, M.Noda, P.Hedblom, A.Grishin, M.Okuyama: "Oxygen Annealing Effect of Photoelectron Spectra in SrBi_2Ta_2O_9 Film"Japanese Journal of Applied Physics. 41・11B. 6797-6802 (2002)
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[Publications] K.Kodama, M.Takahashi, D.Ricinschi, A.I.Lerescu, M.Noda, M.Okyuama: "Improved Retention Characteristics of Metal-Ferroelectric-Insulator-Semiconductor Structure Using a Post-Oxygen-Annealing Treatment"Japanese Journal of Applied Physics. 41・4B. 2639-2644 (2002)
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[Publications] M.Takahashi, M.Noda, M.Okuyama: "X-ray Photoelectron and UV Photoyield Spectroscopic Studies on Structural and Electronic Properties of Sr_xBi_yTa_2O_9 Films"Materials Research Society Symposium Proceedings. (発表予定). (2003)
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[Publications] M.Noda, K.Kodama, I.Ikeuchi, M.Takahashi, M.Ouyama: "A Significant Improvement in Memory Retention of MFIS Structure for 1T-type Ferroelectric Memory by Rapid Thermal Annealing"Extended Abstracts of the 2002 International Conference on Solid State Devices and Materials. 620-621 (2002)
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[Publications] 奥山雅則, 児玉一志, 高橋光恵, 野田実: "強誘電体ゲート電界効果トランジスタメモリーのための強誘電体-絶縁体-半導体構造"応用物理. 71・5. 566-570 (2002)