2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療を目指したヒト肝幹細胞の分離・同定と機能解析
Project/Area Number |
02J06129
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 筑波大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幹細胞 / 肝臓 / 肝細胞 / 膵臓 / 膵β細胞 / 再生医学 / 分化 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
培養の難しいヒト肝幹細胞の培養法を確立するために、これまでに分離・同定することに成功しているマウス肝幹細胞の増殖・分化機構を詳細に解析してきた。以前から進めてきた研究を発展させることにより、最終的に、肝幹細胞から肝細胞へと分化する初期段階に肝細胞成長因子(HGF)が、その後の分化成熟段階にオンコスタチンM(OSM)が重要な役割を果たしていることが判明した(Suzuki et al. Development, in press)。これらの知見は、ヒトやサルなど霊長類の肝幹細胞の分離・培養、および、肝幹細胞から移植可能な肝細胞を効率よく得るための重要なステップと考えられる。現在、改変した培養系を用いて、霊長類肝幹細胞の分離・同定へと研究を進めつつある。 また、骨髄細胞を肝幹細胞の培養条件で培養した結果、その一部に肝細胞の分化マーカーであるアルブミンの発現を認めた。この結果は、骨髄細胞を用いた肝再生治療の可能性を示唆している。今後、肝細胞分化誘導因子を探索し、加えて、骨髄細胞中のどの細胞が肝細胞分化能を有するのかを決定してゆく予定である。 さらに、マウス肝幹細胞からの膵β細胞分化について解析を進めた結果、培養下で分化を誘導する因子を数種類同定した。今後、これら分化誘導した膵β細胞の機能解析へと進む予定である。一方、肝幹細胞からの膵β細胞分化を考える上で、膵臓本来に存在する膵幹細胞の同定、およびその機能解析によって得られる知見は非常に有用である。そこで、肝幹細胞の同定手法を応用し、膵幹細胞を解析可能な実験系を確立した(Suzuki et al. Cell Transplant,2002)。今後、膵幹細胞からの膵β細胞分化を詳細に解析し、肝幹細胞から膵β細胞を効率よく分化誘導させる技術を確立したいと考えている。 本研究を遂行するに当たり、平成14年9月から平成15年3月まで米国ソーク研究所にて研究を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木淳史: "Establishment of clonal colony-forming assay system for pancreatic stem/progenitor cells"Cell Transplantation. 11(5). 451-453 (2002)
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[Publications] 鈴木淳史: "Identification and propagation of liver stem cells"Semin Cell Dev Biol (Review). 13(6). 455-461 (2002)
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[Publications] 鈴木淳史: "Role for growth factors and extracellular matrix in controlling differentiation of prospectively isolated hepatic stem cells"Development. (in press).