2002 Fiscal Year Annual Research Report
オレキシン神経欠損マウスにおけるオレキシン神経の生理的役割の解明
Project/Area Number |
02J06137
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 淳子 筑波大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高脂肪食 / 環境要因 / 遺伝要因 / 肥満 / ナルコレプシー / オレキシン |
Research Abstract |
申請者らは、以前に神経変性疾患のひとつであるMachado-Joseph病の原因遺伝子のポリグルタミンリピートをオレキシン神経特異的に発現させたマウスを作成した。このマウスは後天的に、ほぼすべてのオレキシン神経が神経細胞死により脱落する。このマウスはナルコレプシー様の症状を呈するとともに、摂食量の減少と肥満がみられ、オレキシン神経が睡眠・覚醒の制御とエネルギー代謝調節に重要な役割を持っていることがあきらかになった。 本年度は、このマウスの摂食量の減少を肥満が、環境要因や、遺伝的背景によってどのような影響を受けるかを検討するために、C57B16マウスとの8回以上のバッククロスによって、C57BL6のバックグラウンドをもった状態で、週令ごとの体重、摂食量を検討した。 その結果、DBA1:C57BL6=50:50のバックグラウンドでは12週あたりから、野生型のリッターメイトに比べ有意に肥満がみられるのに対し、C57BL6では肥満が見られないことがあきらかになった。しかし、高脂肪食をあたえるとC57BL6のバックグラウンドでも有意な肥満がみられた。また、どの条件下でも摂食量はトランスジェニックマウスの方が低い傾向にあった。 以上の事から、このマウスの肥満は、環境要因および遺伝要因に強く影響を受けることが明らかになった。ヒトのナルコレプシー患者でも肥満を伴うことが知られているが、この場合も環境要因、遺伝要因が関わっている可能性が示唆された。
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