2004 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化残基改変マウスを用いたNMDA受容体チロミンリン酸化の生理的意義の解明
Project/Area Number |
02J07238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中澤 敬信 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | NMDA受容体 / Src型チロシンキナーゼ / シナプス可塑性 / ノックインマウス / amygdala |
Research Abstract |
NMDA受容体は記憶・学習との関連が示唆されている長期増強(以下LTP)といったシナプス可塑性に重要な役割を果たしている。また、NMDA受容体のSrc型チロシンキナーゼによるリン酸化は、NMDA受容体の機能の調節に重要な役割を果たしていることが示唆されているが、その生理的意義の実証、及び分子レベルでの裏付けはほとんどなされていない。これまでの研究で、NMDA受容体NR2BサブユニットのSrc型キナーゼによる主要なリン酸化残基としてTyr1472を同定し、海馬CA1領域のLTP誘導に伴い、Tyr1472のリン酸化レベルが顕著に充進することを明らかにしてきた。また、Tyr1472をフェニルアラニンに置換し、Tyr1472がリン酸化を受けなくなった形のNR2Bを発現するY1472Fノックインマウスを独自に作製した。前年度から、電気生理学的解析、行動学的解析を用いて、上記ノックインマウスの解析を行ってきたが本年度はそれをさらに発展させ以下の結果を得た。 1 ノックインマウスにおけるエタノール感受性を見出した。 2 ノックインマウスではシナプス上でのNMDA受容体の局在に異常が見られた。 3 ノックインマウスではNMDA受容体複合体の構成分子に異常が見られた。 以上の結果からNR2BのTry-1472のリン酸化はNMDA受容体のシナプス上での局在を規定しており、さらにそれを通じて、脳高次機能を制御している可能性が示唆された。
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