2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本の階層構造・階層文化の変容・再編と教育との相互規定的メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
02J07319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 直人 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生活時間 / 住み方調査 / 階層文化 / ハビトゥス |
Research Abstract |
本年度は、戦時期から現在にいたるまでの日本における階層文化の変容・再編過程を明らかにするための基礎作業として、以下の二つのデータベース構築作業を行なった。 一つは、戦後日本の都市化の論理を先鋭的に象徴する「団地」の居住者を対象とした生活時間調査(1965年)の原票から、生活時間配分に現れたハビトゥスの階層文化性を分析するためのデータセットを作成した。さらにこれと、(1)1941年および1960年以降のNHK国民生活時間調査の集計表や、1976年以降の総理府社会生活基本調査・72年松山調査・73年柏調査・91年松山調査の各個票データ分析との比較による時系列分析、(2)国際生活時間アーカイブ利用による国際比較分析、を可能にするためのコーディング体系の構築とデータ処理作業を継続中である。 もう一つは、日本における住宅計画論の創始者であり、戦時期から戦後にかけて庶民住宅の「標準設計」立案に大きな役割を果たした建築学者の西山夘三が、1930〜60年代に数多く行った「住み方調査」の原票の収集・入力によるデータベース作成作業である。間取りの設計や家族成員への各部屋の按分・利用が以下に行なわれていたのかという点を分析可能にするコーディング体系を構築しながら、空間利用に現れたハビトゥスの階層文化性を明らかにする作業を継続中である。 これら二つの作業は、日本の近代化における階層構造・階層文化の変容・再編過程を人々の生活や身体の次元における馴致化の過程として理解するうえで、本研究にとっての最重要課題を展開するための基礎作業である。まったく独自のコーディング体系の構築と、かなり膨大なデータ処理作業、さらにとくに後者の作業は資料を所蔵している文庫側の規定により資料複写に制限があるため、本年度はまだ研究成果公表にまで至っていないが、来年度にはまとまった研究成果が発表される予定である。
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